2004年07月28日

■花王強さの秘密(平林千春/廣川州伸)

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人は規則やルールで仕事をするわけじゃない・・・

【花王強さの秘密】
    23期連続増益を続ける「最強DNA」を読み解く

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   |著者:平林千春/廣川州伸
   |実業之日本社|2004年 07月
   |ISBN:4408105937|1,500円|
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 家にある花王の商品をさがしてみたら・・・ビオレU、クイックルワイパ
 ー、アタック・・・など結構あった。
 これらの製品を生み出している花王という企業は、81年度から2003
 年まで23期連続増益(経常)というトンデモない偉業を成し遂げている
 会社だ。日経ビジネスなどで取り上げられることも多い。

 あたり前であるべきことをあたり前にやっている・・といえば、トヨタと
 似ている。(あたり前というのは、なかなか難しいのだが・・)

 本書は、中興の祖丸田芳郎社長から、常盤、後藤、尾崎と受け継がれてき
 た花王の企業DNAを掘り下げた本だ。ふたりのマーケティング・プロが
 提示する分析は、綿密な取材の上に裏打ちされて説得性が高い。

 製造業は、結局お客様に認められて売れなければならない。そのためには
 消費者の声を聞き届ける(あるいは、声になっていないニーズの口を開く
 )マーケティングが重要で、それに応えるコスト競争力のある生産能力が
 必要だ。花王はTCR(トータル・コスト・リダクション)で、トヨタは
 トヨタ生産方式で非常に優れた生産能力を持っている。もっているだけで
 なく常に進化させている。
 一方、それだけではなく顧客にできるだけ近いところからの発想を心がけ
 ている。いつもスーパーで消費者の動きを見ていた丸田社長にスーパーが
 用意したという「丸田チェアー」のエピソードは有名だ。

 本書は、経営者の姿勢、企業風土、商品開発のしくみ、市場創造力など全
 方位的に花王を分析している。花王を読み解くきっかけにしたい。

 言い出しっぺが一番えらい、稟議書がない、自分でコントロールできない
 ことはやらない、あたり前のことをあたり前に実行する・・・など花王の
 企業DNAを紹介し、その強さの秘密の解明を試みている。

 「花王の理想は、管理のない自発的マネジメントだ」という。タイムカー
 ドはない、稟議もない、役員会議もオープンな場所で、役員室は個室では
 ない・・・など、規則や制度でしばるのではない気風は、ちょっと注目し
 たいところだねぇ。
 
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 <オススメ度>

   ★★★★☆+あたり前を・・

 <読んで欲しい方>
   ・ビオレUを使ってる方
   ・お家にクイックルワイパーがある方
   ・お風呂でバブ使った方

Posted by webook at 2004年07月28日 08:35