【柔道ストラテジー】
小さい企業がなぜ勝つのか
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|著者:David B.Yoffe Mary Kwak / 藤井正嗣監訳
|日本放送出版協会|2004年 08月
|ISBN:414080890X|本体価格:1,900円 |349P
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オリンピックも後半になってきた。前半のハイライトはなんといっても柔
道。谷選手や野村選手らの活躍に日本中が沸いた。
本書は、柔道という日本が生み出したスポーツをビジネス戦略の比喩(メ
タファー)に使って、勝つための戦略は何かをさぐる面白い本である。
意外なことに欧米では、多くのビジネスプロフェッショナルが柔道をビジ
ネス上の比喩に使ってきたらしい。
柔道の要諦は、ムーブメント(機敏に有利なポジションを手に入れる)、
バランス(協業したり対決を避けたり)、レバレッジ(相手の強みを弱み
に変えてしまう)の3つだという。
これらは体力や規模のない小さな企業にとっては非常に有効だ。
レバレッジの例では、チャールズシュワブの例が登場する。
90年代初めIRA(個人年金)市場を席巻していた巨人フィデリティは
手数料で4500万$以上を手にしていた。弱小のシュワブはIRAの手
数料をタダにするレバレッジ戦略にでる。これによってフィデリティは、
シェアを失うか利益を失うかの苦しい二者択一を迫られたのだ。
今まで強みだと思っていたものが一挙に弱点になるからレバレッジの技は
すごい。
同じような例は、サウスウエスト航空、セガ、CNETなどでもある。
一方、大企業も柔道ストラテジーは有効だが、ときには相撲ストラテジー
(体力、規模にものを言わせてねじふせる)も必要である。
マイクロソフトが体力にものを言わせて(IEの無料配布で)ネットスケ
ープをねじ伏せたような場合だ。
IT業界を中心に豊富な事例を登場させ、柔道ストラテジーをわかりやす
く解説している。 監訳は、藤井正嗣さん。 http://tinyurl.com/6w7bw
翻訳書を通じて外国の人から柔道や相撲の歴史や基礎知識を教えてもらう
というのもなかなか面白いものがある。(70へぇはいったね)
「そういう風にいってもらえると、とっても分かりやすいネ」というのは
よくある。柔道、相撲意外にもスポーツや自然をメタファーに利用するの
は楽しいことだ。なんか考えてみよっと・・・。
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<オススメ度>
★★★★☆+イッポン!
<読んで欲しい方>
・オリンピックで柔道を応援した方
・ビジネスと柔道をつなげてみたい方
・ライバルに一本をみまいたい方