見えないところを見るために・・
【インタンジブル経営】Why the Bottom Line Isn't!
競争優位をもたらす「見えざる資産」構築法
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|著者:デーブ・ウルリヒ/ノーム・スモールウッド
|ランダムハウス講談社|2004年 06月
|ISBN:4270000171|2,000円 |396P
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原書の副題は、How to Build Value Through People and Organization と
いうもの。つまり、人と組織を通じていかに価値を生み出すか。逆にいえ
ば価値を生み出すための人材や組織はどうあるべきか、ということになる。
冒頭、新しいゲームのはじまりと題する導入の言葉がある。すばらしいメ
ッセージがそこにある。
『ボトムライン(最終損益)はビジネスそのものである。
組織の現状を示す確固たる数字であり、成功の度合いを測る
決定的な方法である。・・・(中略)・・・
だた、実際には、ボトムラインがビジネスのすべてではない。
経営社が信じ込まされているほど明瞭で正確な数字ではないし、
ビジネスの成功を正しく示す得点表ではない。経営者が何にも
まして追いかけるべき尺度でもない。ボトムラインは、もはや
実態を示すものではなくなった。』
本書のタイトルのインタンジブルとは、見えざる価値、すなわち損益計算
書には現われない企業の価値、である。
本書は「人と組織を通じて作り出す新たなボトムライン」を考察する内容
である。
従業員の仕事への熱意、顧客の満足度、投資家からの信頼などのインタン
ジブルな資産(無形資産)を新たなボトムラインとして注目しようという
のが本書の主張だ。
当然ながらバランススコアカードのコンセプトも登場する。
リーダーのヒント(説明責任)というのが心に残った。
説明責任はあらゆる組織に重要である、個人の場合も同じだ。
そのために次の4つが大切である。
1)目標と結果がはっきりと定められていて、戦略が明確になっている
2)誰もが自らに期待されている基準について知っていて
尺度がきちんと機能している。
3)基準を達成する、し損ねることに対して妥当な結果(評価)がでる
4)成績をたどって向上させるためのフィードバックが行われる
396Pもの大部な本である。もちょっとシンプルに伝えてもらったらいい
ような気もする・・・。
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<オススメ度>
★★★★+新たなボトムライン
<読んで欲しい方>
・財務以外の要素に気合を入れて取り組みたい方
・長期計画を策定中の方
・BSCに興味をもった方