【団塊老人】
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|著者:三田誠広
|新潮社|2004年 07月
|ISBN:4106100770|680円| 206P
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団塊の世代は、高度成長時代を牽引し、良くも悪くも日本を特徴づけてき
た世代である。いまその人たちは年をとり、あと数年もたてば団塊老人の
カタマリになる・・・・。「何も生産せずひたすらメシを食うだけのイナ
ゴの大群のようなものです・・」とは、ちょっとかわいそうな表現だ。
そんな表現ができるのも、著者自身が「団塊の世代」の“一味”だからで
ある。
本書は、これから「団塊老人」の集団となるカタマリについて、一人称的
に書かれている。(僕も実は団塊の世代の末席にいるのだが・・・笑)
チロリン村とくるみの木、月光仮面、少年マガジン・・・と聞いてなるか
しく思える人は、団塊の世代。
前半は、団塊の世代とは何かをふりかえる。根底にあるのは、貧乏に対す
る恐怖だという。だから受験勉強に駆り立てられてもがんばり、石油ショ
ックを切り抜け、バブル経済を牽引し、幾多の経済社会の変動の中を生き
抜いてきたという。そんな振り返りは、なかなか面白い。俺も団塊の世代
だ・・・って方は、なつかしくもある子供のころを思い出しながら読める
だろう。
さてそんな団塊の世代は、時代のお荷物(いや失礼、著者が言ってるんで)
なのだが、彼らも21世紀半ばには死に絶え、様々な問題もなくなるだろ
うと予測する。
では団塊世代は、ほんとにお荷物だけなのか・・といえばそうではない。
団塊の世代が明るく楽しく老後を生き抜けば、世の中も明るくなるという。
老いても影響力は大きいのだ。団塊老人の3つの心得を書いておこう。
1)愉しく働く。可能な限り働きつづける。
2)自分の居場所を確保し、生きることの充実感を維持する。
3)少ない費用で喜びを得られる文化的な趣味をもつ。
肩書きのこと、家族のこと、妻との係わりのことなど団塊老人のススメが
書かれている。団塊老人候補生の方、ぜひお読みいただきたい。
三田さんの文章は、軽快なタッチで読みやすい。
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<オススメ度>
★★★★☆+団塊の一味
<読んで欲しい方>
・団塊の世代の方
・団塊ジュニアの方
・老後をどうするか考えている方