【内側から見た富士通】
「成果主義」の崩壊
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|著者:城繁幸
|光文社|2004年 07月
|ISBN:4334933394|952円|235P
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成果主義とか、目標管理制度とかは、多くの企業で採用されている。
僕のいる会社でもMBO(Management by Objective) なんてのがある。
ところで、成果主義を取り入れた企業の多くは、果たしてそれをうまく機
能させているのだろうか・・・
本書は、93年に目標管理制度を取り入れた富士通の苦悩を内部(人事部
に在籍)にいた著者が実情を公開し、成果主義の失敗の要因を分析した本
である。
内部告発的な様相もあり、すでに退職しているとはいえ、きっと圧力がか
かったんだろうな・・とよけいな心配をしてしまうほど過激な内容がある。
そうだ!そうだぁって思う人は、富士通内部にいる人だけでないだろう。
多くの企業に内在する共通の問題がそこにあるからだ。
著者は、富士通における目標管理制度の失敗は、次のような要因だと分析。
* 管理職の目標設定や評価がブラックボックス化のままであり、目標の
ブレイクダウンが機能していない。
* ムラ社会の社風が、制度運用をダメにした
* 評価の不公平感(本社の人事部員はいつもAかSA)がある
などなど。
トップの無能ぶり批判や、内部事情の暴露など、かなりアブナイ内容があ
るが、感情的にはならず冷静に見ているところがいい。
富士通を不思議な会社とみるか、それとも「うちだって近いものが・・」
とみるか。単に内部に潜む憤懣を明らかにしただけでない価値がありそう
な本である。この本の売れ行きがそれを示している。
掲示板もなかなか華やかだ。
http://mnfuji2.hp.infoseek.co.jp/ (下のほうにいろいろある)
http://mnfuji2.hp.infoseek.co.jp/03bfb1_1.htm (アンケート例)
目標管理制度を作っただけの企業は案外多いらしい。あとはよきに運用し
てくれモードである。そうなると各部門は自分たちが心地よい運用をはじ
めるので、制度は空中分解する。ところが、評価だけはつじつまを合わせ
るために上から締付けがくる。そんな状況ではないだろうか。
目標設定のプロセスにBSCのコンセプトを取り入れたら・・・とも思っ
たが、それ以前の課題が多くありそうだ・・・。
他山の石か、自社の石か。
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<オススメ度>
★★★★☆+同感
<読んで欲しい方>
・人事部の方
・業績評価制度がある会社の方
・この目標はなんだぁって思ってる方