日本初バレンタインデーの売上は、板チョコ3枚だけだった。
今日は、大田区蒲田にある元気な中堅企業、メリーチョコレイトを訪問した。
金沢工業大学大学院のフィールドワークの一環だ。バレンタインのチョコレー
トを考え出した企業としても有名だ。この企業の素晴しい仮説検証型経営は、
雑誌などに取り上げられておりご存知の方も多いはず。
恥ずかしながら僕は、メリーチョコレイトの存在をあまり知らなかった。今回
、社長の原さんのお話や、この会社の経営の生データなどを拝見して「こりゃ
すごいわ!」と驚いた。
チョコレートの生産、販売、営業、物流などすべてのビジネスプロセスが、数
値データで見えるようになっている。しかも翌日の朝8時はそろっているとい
う。ERPがひところ騒がれていたが、その理想的な絵姿がこの会社には、軽
々としたノリで存在していた。ERPを導入することに汲々としている大企業
がみたらよだれがたれるに違いない。
そして何より、そんな仕組みやデータを惜しげもなく開示してくれる原社長の
思想に打たれる。ERPなどという言葉が存在するずーーっと以前から、現場
の情況をデータをもとに「仮説検証型」の経営がなされていたというから、ま
ったくの驚き。
さて、この本だが、そんな素晴しい経営をされてきた原社長の経営哲学をまと
めた本だ。社内向け週刊情報誌に掲載された社長メッセージ「今週の提言」を
編集したものだ。社長の思いや哲学が、親しみやすい言葉で語られている。
こんなメッセージなら毎週でも読んでみたいものだ。
僕のお気に入りはこんなお話。新年会恒例の富くじの抽選会で、社長と杯を重
ねた社員が次々に当選していく偶然に驚いて、原社長が思ったこと。
膨大なデータをコンピュータで処理分析し、ビジョンや戦略を設計するのが
当たり前の時代に(といっても94年のこと)、「奇遇」や「偶然」に支配
される分野が多く残されていると考えると、ロマンが広がるような気分にな
ってくる。
気象データまで使って生産計画を練り、顧客の趣向を伝票や包装のリボンの種
類から収集する緻密なデータを活用しているメリーチョコレート。その社長だ
からこそ、偶然を目にして感じられたことなのかもしれない。
この本は、94年から95年にかけてのメッセージだが、今でも色あせない哲
学的な深みがある。本書は52の話シリーズ、第4弾である。
メリーチョコレートはこちら: → http://www.mary.co.jp/
メリーチョコレイトの経営は、基本的にオープンである。あらゆる経営データ
が、マネジメントレベルに共有され、さらに関連会社(材料の納品先など)と
も共有化されている。そして共有だけでなく仮説検証に活用されている。
もし、こういうことが事前にわかれば、ああゆうことがよくなるかも・という
仮説の設定をやってみるのもいいかもね。・・・ちょっとした思考シミュレー
ションだ。たとえば、あした誕生日の人の年齢と住所と性別が全国規模でわか
れば、あしたのイベントはこんなふうに盛り上げられるとか、今年の冬の寒さ
加減が今からわかれば、スキーツアーのCMはこんなのにできるとか・・・。
仮説だけでなく、検証ができるものを毎日朝考えて、夕方検証できたら楽しい。
ポチを使ったコミュニケーション効果でも考えてみるか。すぐ検証できるし。
★★★★+発信する経営者
・チョコレートがすきな方
・メリーチョコが好きな方
・大福帳経営について考えてみたい方