素顔には人生が映る・・・
人は案外、かっこつけたがるものである。そして素顔は見せたくないというの
が本音である。ところがちょっとしたしぐさや笑いにその人の素顔や素性が表
出することがある。本書の著者は、そんな瞬間をまるで映画のプレビューのよ
うに切り取るのがうまい。
著者のチリー氏は、戦後まもない1946年、駐留軍の一員として日本にやっ
てきたアメリカ人。その後、日本に定住し、ジャパンタイムズでの映画批評や
海外への日本映画の紹介など日本と深く関わりながら活躍してきた人である。
この本は、そんな半生の中で出会った著名な日本人の素顔を独自の目線で描写
した作品である。
映画批評などのメディア活動がメインだから当然、登場する人物は映画関係者
が多い。ニヒルな笑いの三船敏郎の内面、ハリウッドスターの夢がかなわなか
った勝新太郎の寂しげな様子など、へぇーと思えるシーンが52個。
死をまじかにひかえた三島由紀夫との対話、刑務所をでたあと居酒屋で働く阿
部定・・・なども驚き。川端康成、小津安二郎、原節子、黒柳徹子など多彩な
人たちの人生模様が面白い。
素顔がでるときってどんな時だろう。
あの人の素顔は、実はxxx。
あの子の場合は、こういうときに素顔が出る。
などと観察してみるのも面白い。うーん、僕の素顔はどんな感じかなぁなんて
冷静になってみるのもいいねぇ。
★★★★+素顔
・素顔は絶対に見せないという方
・あの人の素顔を見てみたい方
・自分の素顔がすきな方