視点を変えると見えるもの
オーストラリアで地図を買うと南北がさかさまになっている。ヨーロッパでは欧州が真中にきて日本は右端(極東)にある地図だ。アメリカでは、もちろん米国が真中、そして、こともあろうに(笑)ユーラシア大陸が左右に分断されている。それぞれ自分が世界の中心だという発想は、自然のなりゆき。
本書は、地図を戦略的に見る学問=地政学(geopolitics)で、世界を眺めてみようという本だ。
歴史上の覇権争い、戦争はまさに地政学の世界だ。
日英のシーパワー連合の背景、米ソ冷戦の地政学的分析など、へぇーと思える歴史と地理の解説はなかなか興味深い。
前半は、戦争の歴史を、後半はビジネスの概観を地政学的に見ている。
人口比やGDP比率で地図を変形したものが掲載されているが、これを見るとまた違った世界観がビジュアルに見える。CDPを単に棒グラフで見せて、日本は世界第二位だ・・なんていうよりもっと素肌感覚で理解できるところがいい。
著者は人間(世界)を動かす要素は3つあるという。
マネーとガンとフィーリングだ。マネーはお金、経済である。ガンとは政治や軍事力である。そしてフィーリングは思想や宗教などを含む人間感情。いまや世界の悩みであるテロや民族紛争はまさにこの世界である。
この本、視点を変える面白さを教えてくれるかも。
視点を変えてみよう・・というのは日常よくある。しかし、どんな風に変えてみたらいいかを考えるのはあまりない。ついでだから、考えてみよう。
自分がいるグループはどんなパワーバランスで成り立っているか。
心情系と権力系で考えてみる。
このCMは、誰をターゲットにしているのか、そして誰はターゲット外か。
身近にいる人の服装を性格系で分類してみる。
同じチームの人のデスクにある置物(ミニチュアの動物など)と仕事振りの相関を考えてみる。
会社や知り合いの経営者が、どんな判断基準や規範で動いているかを観察して、オリジナル分布図を作ってみる。
視点を変えるきっかけを、色やカタチや時間や服装などをフィルターにしてみるというのも面白い。
★★★★+地図の視点
・世界情勢を説明することになった方
・今後の政治情勢がどうも心配な方
・世界のパワーバランスに興味をもった方