臨場感ある素敵な贈り物
ハーバードに留学した友人は何人かいる。彼らの話を聞くと僕も行きたいなぁーなんて思わなくはないが、うーん、なかなか・・。
本書は、ハーバードの卒業生が教授陣の最後の講義をまとめた本である。学期末の最後に行う教授たちのすばらしい講義は、熱っぽく深い洞察に満ちたものらしい。教授たちは「最後の数分間に、自らの体験をもとに知りうる限りの最良のアドバイスを与えてくれる」という。これがハーバードの伝統だという。
ジョークに満ちたエピソードや思わず涙がこぼれるような話など素晴しい話が繰り出されるようだ。それを聞いた著者は、あるとき思った。
「この教授たちの話を、ぜひ誰かが書き残すべきだ、と」
そしてこの本があるというわけだ。
15人の教授の個性的な話はそれぞれに深い感動がある。
登山好きな教授は、ヒマラヤの7300m級の山から下山するとき生死をさ迷う滑落事故に遭遇し、九死に一生を得たエピソードを語る。まるで映画のようだ。その教授が学生たちに伝えたのは、「肩の力をぬくこと」と「他の人々の幸運を作り出せ」ということだった。 (ジャイ・ジャイクマー)
「パパは誰かの生活を変えたことある?」という娘の問いかけに人生の方向性を見つけたという教授の話。
成功という名の勲章に振り回されるな、周囲の人々にとんな影響を与え、その人の生活にどんな変化をもたらしたかに重心を置いて欲しい・・そんなメッセージを伝えてくれる。(トーマス・J・デロング)
清掃員の仕事をして5人の子供を育てたある聡明な女性サラの話をした教授もいる。その女性は、実は教授のお母さんで、清掃員なんかをしている母を恥と思っていたという。そんな自分こそが恥ずかしいと気づいたのは高校を出て何年もたってからだったと後悔の念を吐露する。
「実を粉にして働き、私のために膨大な犠牲を払ってくれた女性・・・それが私の母なのである」と述懐する教授は、学生たちに会社でリストラで従業員を解雇しなければならなくなったとき、このサラの話を思い出して欲しいと訴える。エリートコースを歩むであろうあなたの決断で人生を変えられる人は、ただの数字ではない。誰かの幸福を願って額に汗し、犠牲を払っている人なのだからだ。
僕は泣けたなぁ・・・。
学校でも、会社でもすばらしい話やエピソードに接する機会はたまにある。これは書き残しておきたい・・・といったこともある。そういうのを文章や本にできないか、そんなことを考えてみたいね。
★★★★★+素敵な贈り物
・ハーバードにあこがれる方
・ハーバードの教授を知りたい方
・素敵な話が好きな方