2004年11月03日

考える技術 ~ 大前研一

考える=知的備蓄=自分に質問=xxx。

書籍情報

考える技術
考える技術
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大前 研一
講談社 (2004/11/05)
売り上げランキング: 9
近日発売 予約可

本のひらめき

インターネットやIT技術の発達で地球はどんどん縮まり、私たちは新しい世界に突入している。大前さんは、これまでの著書の中で、その新しい世界を見えない大陸と表現してきた。そこには4つの空間がある。「実体経済」「ボーダレス経済」「サイバー経済」そして「マルチプル経済」の4空間だ。そんな世界で生きぬくために最も必要なものは・・・考える技術!。

本書は、大前さんがこれまで絶えず鍛えてきた論理思考のノウハウそのもの。とても同じようにはできないが、少しでもマネしてみたいと思える思考法は、これからの人に必須の技術だ。ベストセラーとなった「企業参謀」の現代版というところか。とても読みやすいだけでなく、随所に設けられた練習問題がいい。たとえばこんな感じ:

 @新聞を読んで、毎日5つの疑問を出してください。そして、自分なら・・
  どう書くかを述べてください。

 @半分水の入ったコップを机の上におき、そのコップをテーマに20分
  話してください。

 @あなたが三菱自動車のCEOにヘッドハントされたらどうしますか?

などなど。すべての練習問題には、その問いの意味や解答例が示されているが読後は、考えることの面白さや楽しさが実感できる。知的汗をかくことの快感とも言えばいいだろうか。

カネボウの買収の話や自衛隊派遣、メガバンクの統合など時事のテーマについてもその深層を解き明かし、新聞やニュースを鵜呑みにせず、「どうして?」と考えることの大切さが力説されている。

僕的には、「非線形思考」で紹介された北欧三国の教育改革がとても印象的。
驚くことに Teach(教える)という言葉は禁止!、代って Learn(学ぶ)ことが前提になっているという。国をあげて「覚える」ことではなく「考える」ことに重心をおいているのである。なんと!

考えることは「知的備蓄」だという大前さんは、おそらく世界の知識人の中で最もビビッドな知的備蓄がある人だろう。「アイデアの量産方程式」では「仮説をぶつけあえる友人を持とう」という点に大いにビビビときた。

考えることは自分に質問することだという。セルフコーチングであり、一人ブレストである。そして、できればそういう会話のできる友達がいるのが最高だ。(僕の場合、身近にいるYさんやNさんかな。)

読んでよかった・・だけで終わらせてくれない、知的エネルギーの高まりを感じる本だね。うん、これは超~おすすめ。

僕の思いつき

仮説まで部下に頼ってしまっている日本企業は多いと思う。思いつき上司なのか思考停止上司なのかはわからないが、それを憤っているミドルの方も多いことだろう。

「xxxじゃないかと思うんだが、どう思う」という「解決すべき問題の定義」と仮説を点線で示した上司は、僕の場合、今までに2人いた。(二人しか?)

部下に思考まで依存する上司にならないために、つねに自分にいろんな質問をしておきたいものだ。

また知的怠惰に陥らないために自分なりの辞書も持ちたい。大前さんのいう知的備蓄の一つになる。たとえば:

 考えるとは:(解決すべき問題を設定して、図にすること)
 コーチングとは:(聞くこと、引き出すこと、コミットを要求すること)
 リーダーとは:(Leadership is action, not position)
 幸福とは:(まず与えること、そして与えること、それでも与えること)

とか。毎日3つ考えて、1年たてば3*365=1095個。
仮説を語り合える友達とこういうのをメールで交換しない? 本になる!。


オススメ度

★★★★★+自分に質問

読んで欲しい方

・知的怠惰はいかんと思い始めた方
・人に思ったことを話すのがすきな方
・考える技術に興味をもった方

Posted by webook at 2004年11月03日 16:34 | TrackBack