子供のころに置き忘れてきた宝物がみつかるかもね
いやーまいった。人生のネジを小学4年生の頃に戻して、大感激してしまった。小学校のころに置き忘れてきた何か大切なものを何十年ぶりかに発見したような驚きがあった。
この本は、転校生の僕が「びりっかすの神さま」に出会い、クラスのみんなと心の成長をする楽しい物語だ。うんにゃ、感動の物語である。
木下始くんが主人公。転校先の4年1組の教室で挨拶をしようとしたとき、突然、目の前で透き通った小さな男の人が空中を飛んでいるのを見る。背中に翼もある。
それは、びりっかすの神様だった。ビリで辛い思いや悲しい思いを持った人にしかその姿が見えない。
はじめは始めくんだけがその姿を見ることができた。どうやら、テストの点数が一番悪かった人にしか見えないらしい。そこでわざと0点をとって不思議な男とともだちになろうとする・・・。
4年1組では、成績の順番で前から座っていく。だから一番後ろの端は、一番できの悪い子ということだ。その席にすわることになった始くん。びりっかすの神様と心の会話(テレパシー)ができるようになる。そして、それはほかのビリの子とも・・・・。やがてその輪が広がり、不思議なことがおきる。
わざとビリになることがいいのか悪いのか、かけっこでわざと負けることは本当にいいことなんだろうか・・・子供ごろろに悩みは深まる。そして・・・・
そんなお話だ。
読み進むうちに大人も、その問いに対峙することになる。
ぜひお子さん(小学生高学年)とお父さんお母さんに読んで欲しい一冊。
自分で言うのもなんだけど、僕は小学生のころはなんでも一番だった。勉強もかけっこも図工も・・・。そう、しんちゃんはエラかったのだ。笑
クラスに24人しかいない田舎のことだから、たまたまそういうことだったんだけどね。で、そのころもちょっと勉強のできない子とか、どんくさい子とかがちゃんといた。僕はそういう子たちに優しくしなくっちゃと思ってたけれどその子たちのほんとうの気持ちはわからなかったような気もする。
この本を読んで、そういうものが子供目線でとてもよくわかった気がした。
小学生は面白い。子供の心と大人の目線とをもっている不思議な妖精。あー、ぼくも妖精だったんだろうなぁ。
この書評を書いている横で、妖精がこの本に入り込んでいるようだ。うしうし。
★★★★★+ビリっかす
・心の対話をしたい方
・人の痛みを感じる自分を意識した方
・何かでビリになったことがある方