上司が思いつきでものを言うのは、わけがある・・・
上司は思いつきでものをいう・・・というタイトルに、そうだそうだと感
じた方も多いことだろう。思いつきで指示がでたり、提案した企画書に対
するコメントが思いつきだったり・・・。あるある・・・と感じた方がこ
の本を手にする。
さて、中身だが、そういうサラリーマン社会の不満や閉塞をなじったりす
る本ではない。上司はなぜ、思いつきのコメントをしてしまうのか、せざ
るを得ないのかといった組織的構造を、少し斜に構えたスタンスで解剖し
ている本だ。
会社という仕組みの中で、上司はどういう存在かをなかなか面白い比喩を
用いて表現する。
現場は、上司の故郷である。そころが上司になったとたん、現場と一線を
画し、上司ピラミッドの一角に場所を得て、<上司>と呼ばれる身分にな
る。
<現場>という故郷にいた上司たちは、やがて<上司のピラミッド>とい
う高層ビルの一員となるため、<現場>という故郷を出る。心理的にも構
造的にも現場を離れるのである。
だから、現場から上がってくる企画書などに、上司としての威厳と立場を
守るため<思いつき思考回路>を働かせるのだという。
現場を離れてすでに何年か経ち現場感覚が鈍っても、上司としての威厳を
守るためには、なにかケチ(決して誉めることではない)をつける必要が
あり、そのために思いつき回路がフル稼働する・・というのが著者の分析。
その遠因を儒教思想(序列を重んじる思想)にまでさかのぼるところは、
突飛ではあるが面白い。
さて、そんな会社組織でまともに生きていくためのノウハウはこれだ。
上司をバカにせず、しかも“上司はバカかもしれない”という可能性
を考慮して、上司にもわかるような文章を書く能力が重要だ!
まったく・・・あの上司は・・と嘆くのは分かるが、その現状をなんとか
乗り越えて、日本のサラリーマン社会をまともにしていく方法ともいえる。
自分自身もバカかもしれない可能性を意識しつつ、大賛成である。
総務とは、言ってみれば「会社における専業主婦の妻」である・・とか、
「上司」とは、ただ「立場」である・・・とか、
会社とは上司のピラミッドを骨格として現場という大地の上に立っている
ものだ・・・など、なかなか面白い喩えが楽しい。
自分もバカかもしれない・・という可能性をうすうす感じながら(笑)・
・・読んでみよう。笑
<オススメ度>
★★★★☆+バカの可能性
<読んで欲しい方>
・上司をお持ちのビジネスマの方
・俺もいつのまにか上司だわという方
・上司になりたい方