心をもったロボットは簡単につくれる。(えっ?)
本書は、科学と哲学の間にあって未来社会をリアルな世界としてイメージさせてくれる「不思議な」本だ。
今は不思議かもしれないし、うーむ・・・ほんとかなぁ・・・という疑問符がつくかもしれない。しかし、マジメな内容の本だ。
なにしろ本書の内容は、日本ロボット学会の学会誌に載る予定(2005年)の論文「ロボットの心の作り方(受動意識仮説に基づく基本概念の提案)」をわかりやすく一般向けに書いた本なのだ。
心というのは、「知」「意」「情」「記憶と学習」「意識」の5つから成るという。この中で最初の4つは今のコンピュータやロボットは少なくともちょっとくらいはできるという。それはわかる。そして「意識」は、今のコンピュータはまったく持っていないという。
知情意や意識は主体的であり、人間だけができる高等な精神活動だと誰もが(たぶん)思っているが、本書では、それらですら受動的なものだと論を展開している。このあたりは本書を読んでいただくほかない。(僕の力ではまとめることが難しい・・)
本書は、こうした心の活動は分析でき、だからこそそれを作り出すことも可能だ、さらにいえば心をもったロボットも作れる・・・という展開になっている。
未来社会を想像するのは簡単だが、それをうらづける論を展開するのは難しい。本書はそれを行っているところがスゴイ。
とっても深くて面白い。
ロボットが心をもった世界。ちょっと想像すると怖いねぇ。でも30年後はありうるかも。
30年前にはなくて今は当たり前になっているもの。携帯、GPS、インターネット・・・などなどいろいろありそう。(携帯はあったかな・・?)
過去を見て、未来を伺う。そんなゲームをしてみるのも楽しい。
★★★★★+心の本質
・未来社会を話したい方
・工学系の方
・ロボットが好きな方