2005年01月20日

日本電産永守イズムの挑戦 ~ 日本経済新聞社

出来るまでやる!

書籍情報

日本電産永守イズムの挑戦―すぐやる 必ずやる 出来るまでやる
日本経済新聞社
日本経済新聞社 (2004/12)
売り上げランキング: 157
在庫切れ


本のひらめき

日本電産の永守重信氏は、そのすばらしい経営で各界から注目の人である。現在、日本電産グループ直系18社や関連会社を束ねる名経営者である。カルロスゴーンのほかにもこんな経営者魂をもった人がいるのを知るのは楽しい。

昨日は「不思議な会社」(名南製作所)の本だった。今日の日本電産も不思議な会社の仲間だろう。モーターを中心にしたメーカーだ。

この会社の経営哲学はこんな言葉に集約されている。

「情熱、熱意、執念」
「知的ハードワーキング」
「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」

執念というのがすごい。出来るまでやる、ってのもビビるねぇ。日本電産の創業物語というのが本書のメーンストーリーだが、永守イズムと呼ぶにふさわしい企業経営の精神は、とても刺激的。ある意味、ごくあたり前のことなのだが、それを徹底的にやるとろころが凄いところだ。

三協精機のM&Aのニュースは記憶にある。そのプロセスも詳細に説明されている。僕が一番心にヒットしたのは、合併後の永守氏の行動だ。約12ヶ月の間に一般社員や主任クラス1056人と昼食懇談会を持ち、管理職とは327人と25回にわたる夕食をとったという。ポケットマネー2000万円を使ったらしい。もちろん食事をするのが目的ではなく、自身の経営哲学を広めることと腹をわった話を聞くためだ。自分ちの会社の社長はこんなことをしてくれるだろうか・・・。

また三協精機のコスト改革にあたっては、1円以上の支出はトップの決済が必要だと宣言し、すべての稟議を見たという。数秒とはいえめくら判ではなく、的確な指示が飛ぶから、経費はめちゃくちゃ締まったものになったようだ。

人材に対する考え方も名南製作所とも通じる。
人の能力の差は5倍程度しかないという。5倍もあるのか!と驚くが、もっと大事なのは意識、やる気の差だ。それは100倍以上へたをすると1000倍以上あるという。だから頭のいい人ではなく意識の高い人を採ることにしているという。

本の最後に永守語録が載っている。お気に入りは

「智恵を出すというのはそんなに難しいことではない。
 今自らがやっている仕事を1秒でも早く楽にできる方法を
 考えればよいのである」

などなど、この企業グループで行なわれている「不思議なやり式」は、我が身に照らして大いに勉強になる。


僕の思いつき

整理整頓は、永守イズムの大事な要素の一つ。
理由は・・・廊下を歩くのも100円、資料を探すのも100円、身の回りが乱れていると、ちょっとしたことにも時間がかかる。つまりコストがかかるのだ。ABC(Activity Based Costing )という管理手法があるが、そういう意識で日々の仕事を見直すとトヨタみたいに強力な仕事環境ができてくる。

そもそも自社のコスト構造も意識しないような企業があったら、早晩消え行く運命かもしれない。我が社は大丈夫だろうか・・・

自分の行動(例えば、資料探しに10分かかるとして)が、いくらかを計算してみておくのも面白いね。

東レシステムの高村社長は言った(プロジェクトX風)。

     「測れば変わる!」



オススメ度

★★★★★+出来るまでやる!

読んで欲しい方

・優良企業のベンチマーキングをしたい方
・不思議な会社がすきな方
・いい会社に変身させたい方

Posted by webook at 2005年01月20日 19:17 | TrackBack