草分け女性起業家は、今度は銀の卵を育てる
著者がダイアルサービスという電話情報サービス会社を立ち上げたのは、まだNTTが日本電電公社と呼ばれ、ダイアルQ2のような二重課金制度のカケラもなかった時代。
その画期的なサービスは、電電公社の鬼と著者が呼ぶ故・遠藤正介氏(故・遠藤周作氏の実兄)との格闘から始まる。公社の鬼から発せられた最初の罵声は、
「どこの馬の骨ともわからん、そういういかがわしい女どもの会社の
料金回収の代行を、畏れ多くも日本電信電話公社にやらせる気か!」
だったという。今ならセクハラ訴訟ものだが、それでも怯まない著者は何度も何度もダイアルサービスの将来性を訴え続けた。そしてついに「鬼」は、心を開く。
「おぬしの要望は国会マターだから、おれが頑張っても二年はかかる。
それまでこの公社からは一銭たりともやらん。それでもちゃんと生き残れ
るか?」
「生き延びて見せます!」
といったやりとりの後、鬼は猛烈に応援してくれるようになったという。(二重課金の制度は、このあと20年の歳月をかけ、1988年に法的に認められることにある)
その後の山あり谷ありの展開は、ほんとうに波乱万丈という感じ。日本の女性ベンチャーの草分けともいえる著者の半世紀は、とても元気がでる。
人は、覚悟があれば何でもできる・・・そんな勇気をもらえる本である。
ちなみにダイアルサービスはこちら:
http://www.dsn.co.jp/company/index.html
草分けベンチャーの著者は現在60代。超高齢者社会の日本で、高齢者を「銀の卵」と呼んで『生涯現役カリスマ高齢者』が輝く社会を作ろうとしている。
著者が地方で講演をしたりすると、講演後、30代の若者から
「母から聞きました。エンゼル110番に相談しながら僕を育ててくれた
そうです」
といった話をきくという。
時代がまわり、世の中を変える若者が、女性草分けベンチャーと交流する時代になってきた。循環型ベンチャーリンクとでもいおうか。
世の中に素晴しい影響を与えている人の話はたくさん聞いておきたい。
さて、誰のところへいくか・・・考えてみよう。
★★★★★+草分け
・起業家を目指している方
・ベンチャー志向の方
・女性の方