ピッチの逆襲!?
WILLCOM(ウィルコム)。最近、新聞の全面広告を見かけることが多い。なんだろう、この会社?と思っていたら、この本が出た。
どうもカーライルという米国の投資ファンドが絡んでいるらしい。カーライルの代表はあの元IBMのルイス・ガースナーJrだ。これまでの実績では、カーライルの投資先は、相当高い確率で成長したという。
ウイルコムは、元DDIポケット、つまりPHSの会社である。うーむ、なぜ今ごろPHSが・・・。ピッチは安いけどつながりにくい、エリアが狭いなどの理由で携帯電話に圧倒されたんじゃなかったか・・・。
そんな疑問を紐解きながら、なぜ、今、カーライルという超優秀ファンドが、ウィルコムに投資したのかその理由が解き明かされている。
携帯、PHSなどの歴史と今、そしてちょっと先の未来が垣間見えるユニークな本だ。
PHSがピッチと呼ばれて若者に受けたのは97/98年ごろ。DDIポケットは、一時はシェア50%を超える大躍進をしたのだが、携帯にくらべて「つながりにくい」という評判とともに衰退していく。その後の携帯の小型化、i-Mode、写メールなどと「ちょっと前の歴史」が面白い。
さて、携帯電話躍進の影でPHSは何もしなかってわけではなく、首都圏を中心に必死でアンテナの数を増やしていたという。それが逆転のための屈身だったのだ。そんな歴史と、これからの大化けするかもしれないという仮説が非常に躍動的で面白い。中国版PHS(小霊通)も大きく伸びているという。
ひさびさに興奮する内容だった。
この本を読み、「ちょっと先未来」を注視するのも面白いのではないだろうか。
SWOT分析なんてのがある。発想は、強みを伸ばし、弱みを克服する。そして機会を捉え、競合に打ち勝つ・・・というものだが、言うわ易し・・である。
また、弱みを弱みとだけみるのではなく、そこにチャンスや逆転の機会を見出すことも戦略策定には重要だろう。
弱みの本質を解き明かすと、けっこうチャンスだったりもするから面白い。
そんなものが身近にないだろうか?
★★★★★+逆転
・エアエッジを使ってる方
・PHSを使ったことある方
・逆転ホームランが好きな方