風車の人?!
新潟、と聞けば先の上越地震が記憶に新しい。ちょっと前は、北朝鮮からの帰国の蓮池さんや曽我さん、さらに前は故・田中角栄氏・・・。僕にとって新潟は、セミナーなどで個人的にもご縁がある。
さて、本書は、新潟市長の著者が、新潟のもつ潜在的パワーについて、歴史もひもときながら記した、首長(市長)としてのメッセージである。新潟の「歴史の力」「大地の力」「人の力」などが時代や政治の流れの中で紹介されている。
太平洋側のことを「裏日本」と失礼な呼び方をしたのは誰だろうか。日本の米所として重要な地域である。そこに住んでいる人たちも、かなり熱い人が多いようだ。
本書でも、歴史的なエピソードを紹介しながら、新潟の特徴をひきだしている。よきにつけあしきにつけ田中角栄という人の存在はすごかった。故田中氏の功績についてもふれられている。
著者は、元新聞記者(新潟日報)という経歴か、文章は硬筆なタッチである。後段に紹介されている、政令都市としてのビジョンはなかなかかっこいい。
新潟以外の人に新潟のイメージを尋ねると「なんとなく地味である」とか「県民は粘り強いが暗い感じがする」とかの声が多いという。しかし、著者はむしろ「過激」でさえあるという。本書の中で紹介されている明治以後の自由民権運動や大正デモクラシーなど歴史を振り替えると確かにそんな印象をうける。
新潟市と周りの市町との合併の中で、新たな歴史を刻もうとしている市長さ
の思いが感じられる。
冒頭に引用されていた人間の3つのタイプというのが印象深い。
「土の人」、「風の人」、「風車の人」である。
土の人=その土地に根を張り土地とともに生きて、その地で一生を終える人
風の人=様々な情報をもって各地を巡り、他の人に新しい価値観を授けて去っ
ていく人
風車の人=大地にどっしりと根をおろしながらも時代の風や情報をキャッチ
して、風車を回し地域にエネルギーを与えるタイプ
とあった。著者は、新聞記者として長らく「風の人」を演じ、今は、「風車の人」になっているというわけだ。
自分の生き方や、まわりのカッコいい人を見て、3つのタイプを考えてみるのもいいねー。
水の人、土の人、空気の人
太陽の人、月の人、大地の人
耳の人、口の人、目の人・・・・などなど。
★★★★+まずまず
・地域に風を送りたい方
・地域に根を下ろしている方
・その土地が好きな方