大空を飛んでみたい!
本書は、「木を植えた男」を書いたジャン・ジオノの自伝的物語。
少年は、自分の住んでいるところがどんなところかみたくてたまらなかった。いつも父親と森の中を散歩するのだが、全体が見えない。いったいここはどんなふうになっているのだろう?あるとき、木に登って眺めてみることにした。しかし、いくら登っても遠くまで見渡すことはできなかった。少年はがっかりする。
その夜、砂糖いりのぶどう酒をほんの少しもらってベッドにいった少年は、はてしなく広がる大地、村、森などをまるで空を飛ぶ鳥のように眺めることができたのだ。
だいたいこんなストーリーだ。
ジャン・ジオノがどんな少年時代をすごしたのか、父親とどんなふうに関わっていたのかなどがゆっくりとしたリズムで伝わってくる。
「木を植えた男」の前奏曲のほうな本である。
本書は、鳥のように視点を高く引き上げて、大空を飛ぶように眺める爽快さを伝える。「木を植えた男」は、時間をぐーんと引き延ばして、長いレンジで見る驚きと感動を伝えている。
空間と時間。高く長く。私たちに与えられた「想像力」がそれを可能にしてくれる。
「木を植えた男」の物語は、ある本で知った。そして実際に読んでとても感動した。2000年のことである。
→ http://webook.hp.infoseek.co.jp/2000.09/2000.09.06.htm
本書は、「木を植えたひと」のよこに並んでいたものだ。あ、あのジオノの本だ・・・と思って読んでみた。
子供のころの体験、感動、いろんなものを自分なりに書き残しておくのもいいねぇ。大人になってもリアルなイメージで思い出せることは誰しも一つや二つはもっている。それは、そのときでしかわからない新鮮な驚きや感動の物語。記憶のかなたにほうっておくのはもったいないかもね。
★★★★+プロバンス
・森が好きな方
・木の香りが好きな方
・時間と空間を伸ばしたい方