情報のゴミ箱にしない。
プレゼンを聞く機会は多い。セミナーなどでプレゼンをする機会も多い。どちらにしてもプレゼンをする人の一番の気がかりは、「言いたいことは、果たして伝わっただろうか?」ということだ。
聞く側からすれば、そこまでくどく言わなくても・・、もっと詳しく言ってくれなきゃ・・・、いったい何が言いたいのか・・・など一言いいたいことがあるかもしれない。
いやぁー、サイコウに心を動かされましたというケースは、実は少ない。(自分のことは棚に上げているのだが・・・)
本書は、プレゼンの極意を技法だけではなく、本質を紐解くところから教えてくれる。そこが素晴しい。
著者は、もとCBSテレビのプロデューサーやシナリオライターなどショービジネスの世界で地歩を築いた人だ。それが、あるとき友人に請われてシリコンバレーのプレゼン・コーチへと転進する。
プレゼンは聞く相手(例えば投資家)を説得するために行う。A地点(?)からB地点(!)へ確実に移動させることである。
聞き手に「なるほど」を連発させ、共感を得られるためには、何が必要だろうか・・・
著者は、コミュニケーションの技法よりも「正しい話の展開」だという。それは、何があなたのメリットになるのか(WIIFY)を分りやすく説明できる話の展開である。
まず何を伝えたいかを明確にする。次に、話しの流れを考える。こういえば単純明快だが、なかなか難しい。
本書では、数多くの具体的な事例(IPO時の投資家向け説明など)が載せてあり、ナルホド!がいっぱいある。
松っちゃんの翻訳も素晴しい。(笑)
会社の中期計画とかは、とにかくなんでも放り込んである。なんでもかんでも盛り込むスタイルを著者は皮肉をこめて「フランケンシュタイン・アプローチ」と読んでいる。言いえて妙である。
Less is More (少ないほうが効果的)という。
全体が把握できるようにしようという。
数字に語らせようという。
ふむふむ。これらの技法はすべて正しい。
そしてこれら技法を身につける前に、考えるべきことが「何を伝えたいのか」ということだ。ここを外すと元も子もない。
聞き手の立場にたって、何を伝えればいいのか。納得して行動してもらえるのか。ここをよく考えてからプレゼンを行いたい。
聞き手を退屈症候群に陥れるのは、プレゼンする側も聞く側も不幸である。
★★★★★+WIIFY(ウィッフィ)
・プレゼンを磨きたい方
・大事なプレゼンを控えている方
・プレゼンを楽しんでいる方