納得のプロセス!
本書は、ビジネス・コミュニケーションの本質を考察し、どうしたらその力を高めることができるのかを考える本だ。
まず、コミュニケーションを「納得のプロセス」と定義づけたところがいい。相互に信頼する、相互に理解する、そして協調して行動する・・こうした目的を達成するためにコミュニケートするのがビジネスだ。
そのベースになるのが「納得」ということになる。ふむふむ、納得!
納得のプロセスには、3つのステージがあるという。
信頼の段階 (あんたは、とりあえず信頼できる人らしい)
理解の段階 (今日のテーマについては、互いに合意できた)
行動の段階 (それじゃ、こうしよう)
というものだ。そして、それらの段階を進めるための力も3つある。
人間力 (自己を確立し、相手の立場に立つ力)
論理力 (話を構造化し、相手にわかりやすく伝える力)
対話力 (相手の心を捉え、相手の納得を生む話をする力)
である。誠実で、話が分りやすく、そして納得できる話をする力である。
本書は、この構造を核に、聞く力、シナリオ力、言霊の力などが展開される。9人のメンバーで書かれた内容がなかなかうまく整合しているのは、コミュニケーション力のなせるわざか・・・
本書には、HRインスティチュート代表の野口さんが、病院で手術を受けることを決断するまでの医師との対話(コミュニケーション)が紹介されている。まさに納得のプロセス(手術をこのドクターから受ける)としてのコミュニケーションがそこにはあった。
普段、生活やなにかの出来事を、分析的に眺めてみるのはいいことだ。
世の中の事件でもいい、自分におきた何かの出来事でもいい。印象の強い何かがあったら、それを別の視点で眺めてみると面白いものが見えてくるかもしれない。
夫婦喧嘩、理不尽な顧客の依頼、予期せぬ賞賛、思いもよらない出会い・・・そこに何を見るか、読み取るか・・・人生は面白くもあり、つまらなくもある。
★★★★☆+納得のプロセス
・よいコミュニケーションとは何か探している方
・部下との対話を高めたい方
・話を聞くのは嫌いだけどしゃべるのは大好きという方