自己中心はいけません。
BSC(バランススコアカード)のセミナーでは、よく「見えざる価値」の話をさせていただく。Intangible Capital(無形資本)なんて表現したりする。
その見えざる価値の中には、発明をするような優秀な人材がいるとか、すばらしい企業経営システム(トヨタ方式など)があるとか、顧客リストがあるとかいろいろある。そして、最も見えにくくかつ重要なものが「ブランド」というものだ。
本書では、築き上げたブランド資産をどう活用すればいいか・・・がテーマとなっている。ブランドをむやみやたらに拡張すると失敗するし、ほっておいてはもったいない。
いくつかの実事例をもとに、失敗や成功の分析を行いつつ、ブランド拡張の要諦を探る本である。
失敗事例には、バージングループ(音楽や航空事業)などが紹介されている。バージンは、コーラやジーンズなどにそのブランドを展開して失敗した事例として登場する。これは、「自己中心ストレッチ」(つまり自社の都合だけ考えてしまった)の失敗例だという。
また成功事例には、iPod(アップル)や紙おむつのパンパースなどが登場する。しっかりとコアターゲットを見定め、ポジショニングを強化する、そして製品のブラントプロミスを実行する・・といったあたりが成功要因だ。
ほかの事例は、あまりなじみのない企業が多いが、製品の写真や適切な図解が理解を助ける。
コアの強化、ビジョン構築、機会発見など6つのステップで解説が進むが、僕的に覚えておきたいことは:
ブランドストレッチ(ブランドを拡張して儲ける)は、成功率が低い。
自己ストレッチ(身勝手な思い)は失敗のもと
ブランドが価値を発揮できるターゲット分野を絞ろう
製品の中身とブランドプロミスをしかり実現する
明確で意欲的なビジョンが大切
などなど。
ブランド価値を高めたい方、ブランドをお金に変換したい方、必見。
自分のいる会社のブランドが何か、考えてみよう。そういう部署に僕はいないから関係ない・・・なんていわないで・・。
そのブランドが、どんな風に展開されているか。それは成功しているか、失敗しているか・・・。そういうのも考えてみる。
考えるときは、図解(あるいはマインドマップ)してみるといいねぇ。
うちにはブランドなんてないや・・・なんて方は、どんなブランドを持てばいいかを考えてみる。
見えない(と思われている)ものを見えるようにするのは、案外楽しい。
★★★★☆+ストレッチ
・ブランド構築・拡張を仕事にしている方
・ブランドに興味ある方
・ブランドものが大好きという方