2005年07月14日

カマキリは大雪を知っていた ~ 酒井與喜夫 + 7/22イベント

観地望気!

書籍情報

カマキリは大雪を知っていた―大地からの“天気信号”を聴く
酒井 与喜夫
農山漁村文化協会 (2003/10)
売り上げランキング: 67,752

本のひらめき

この本の著者はどうしてもお会いしたい方である。実は、この本を読む前、モリームーンの三好さんから、「新潟にカマキリ博士がいるんですよ!」と教えていただいていた。そのカマキリ博士こそ本書の著者、酒井さんだ。

本書は、カマキリの生態観測(具体的にはカマキリが卵のうを作る位置と積雪の関係の観測)から、地球の不思議に迫るライフワークのお話。酒井さんの科学的アプローチはとてもワクワクする。

仮説と検証、統計処理、科学的な考察・・・カマキリという身近な昆虫を通じて、地球や自然の不思議を知ることができる。すばらしい科学読本だ。

植物(樹木)は地球の微妙な振動を感知し、樹木の中を流れる水の流れや保水の状態を変える。それの振動をハチやカマキリは聞き分け、未来の天気変動を予知する。それによって生命の保存を図るため、卵のうをつける場所を年によってかえるのだ。

カマキリの産卵は、初雪のおよそ3ヶ月前だという。1ヶ月前でも5ヶ月前でもない。この3ヶ月というのも実はヒミツがある。フレミングの法則、地球ダイナモ説などとあいまって、非常に興味深い考察がある。(詳しくは本書でお楽しみを!)

うーん、僕らは地球人なんだ。カマキリも植物も人間もみんな同じ星に住んでるんだぁ・・・って思える本である。

カマキリは嫌いだって方も、ぜひ!読んで欲しい。(電気工学を学んだ方は、ぜったいハマルね。)


僕の思いつき

鳥の巣が高い年は大雨が降る、ハチが川原に巣を作ると干ばつの恐れあり、等古くから生き物と天気に関する言い伝えがある。それなりに当っているなあと思うこともあるが、それを科学的に研究したひとは少ないのではないだろうか。

この本の酒井さんは、それを丹念にしらべ、しかも40年以上にわたり、年に一度しか得られないデータを積み重ねてきた。それだけではなく、疑問に対する仮説をたてそれを検証しているところがすごい。

たとえば、カマキリは他の土地にいっても積雪余地ができるのか・・?などの仮説に対し、実際に実験で確かめている。(どこにいっても地球の音を聞いていることが判明)

科学する心とはこういうことか・・・と感心し、また尊敬の念をもつ。

カマキリ博士といっしょに研究を進めた前橋工科大学の湯沢教授の言葉が印象的だ。

  疑問を疑問のままにしておけばそれで終わりですが、何とかその疑問を
  解き明かしたいと思った瞬間に新たな展開を見せることがある。

今日の疑問は何だっただろうか? ちょっと思い出してみよう。(え、疑問はなかった・・・うーむ、それはそれでいいかもね)笑



オススメ度

★★★★★+90度

読んで欲しい方

・自然観察が好きだった方
・天気予報に興味ある方
・仮説検証大好きという方

Posted by webook at 2005年07月14日 11:53 | TrackBack
Comments

ラジオで聞いたお話を詳しく知りたくてネットサーフィンしてたら、こちらに辿りつきました。ありがとうございました! 私も、この本、読んでみたくなりました。

Posted by: ヘレン at 2005年12月14日 20:15
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