ラーメン屋さんと管理職
大前研一さんは、原子力の技術者として生きることにスッパリと見切りをつけ経営コンサルタントの会社、マッキンゼーに入社する。ご本人曰く、経営のケの字もわからなかったという。そして一年後、マッキンゼーで身につけたノウハウと自分の経験値から「企業参謀」を出版する。これは、歴史的なベストセラーになっている。
本書は、それによくにたタイトルだ。著者は、出版社から提案されたこのタイトルに躊躇したらしいが、最終的に「企業参謀」の発展形として落ち着いたという。
実は、著者の後(うしろ)さんは、大前氏の弟子だという。大前さんがマッキンゼーの役員になったころ同じチームで鍛えられたというから、正に愛弟子。
さて、中身だが、経営参謀としての役割をつぎの3つの視点から展開している。
・経営戦略策定
・組織
・リーダーシップ
戦略は立てただけでは意味がなく、それを遂行実施しなくてはならない。そこに力点がおかれている。
イッシューツリー、4C分析(大前氏の3C、Customer, Company, CompetitorにChannel=販路を追加したものだ)、PPM、7S(ハードの3S+ソフトの4S)などさまざまなフレームワークや方法論が登場する。
ヤマト運輸など具体的な事例や架空のケース事例などもあって分かりやすい。
とくにリーダーシップのところは、僕的にはヒラメキがあった。
企業人として大事な能力は、企業の管理職ではなくラーメン屋のほうが上だ!みたいなところがよかった。
ラーメン屋を開業するには、資金、スタッフ教育、材料仕入れ、宣伝、経理、・・・と全部を細部にまでやらなければならない。
企業の管理職の場合、「xxはどうなってるか?」と問われて「それは担当者に確認しないと・・」というケースが多い。(耳が痛い)
だから、ラーメン屋の店主と会社の管理職を「事業者としての能力」という点で比べると明らかにラーメン屋が上だとうわけである。
その理由は、「一次情報に対する態度と、その絶対量の差だ」という。
あ、これ、分かる。
先日、オブザーブさせていただいたトリンプの吉越社長は、ここでいうラーメン屋なのだ。かなり細かい現場の情報や声まで掴もうという姿勢や仕組みは、まさに求められているリーダーの要件かもしれない。
据え膳下げ膳方式で資料がまわってきて、そこにちょこっと口をはさむ程度でロクな会議もできない経営幹部がいたら、あるいは、全体像も描けない経営者がいるとすれば、早めに退場願ったほうが会社のためである。(わっ、過激)
では、著者が提案している次のことをちょっと試してみよう。
「ちなみに、管理職である読者の皆さまは、過去1ヶ月に扱った情報の
中で、文書や部下同僚などからの報告ではなく、自分が直接現場から
見聞きし、手で把握した情報がどれだけあるか、調べてみられると
よい。」
やってみましょう。
★★★★★+一次情報
・戦略思考が好きな方
・に興味ある方
・大好きという方