哲学的数学
タイトルが妙にそそる表現になっている、数学を使わない数学?なんだそれ?というわけだ。
本書は、数学の本質(論理)を理解するために、あえて数学(つまり補助線をひくとか計算をするとか)をせずに、様々なテーマを使いながら展開した論理的発想のススメである。
月着陸、マゼラン、蒋介石、田中元通産省の外交交渉、マルクス学説、ケインズのジレンマなど実に多様な題材を使い、論理的な思考について展開されている。数学を毛嫌いすることになってしまった方も興味深く読めるのではないだろうか。
近代数学はギリシアから始まったらしい。根本は公理という自明で間違いのない考え方にのっとり、論理を展開するものだ。
そして近代数学は、その公理の概念を覆す考え方だという。つまり、『公理は仮説だ』というものだ。なるほど、なんだか面白そうじゃないか・・・。
といった具合で、歴史、人物、考え方などが面白く読めるところが本書のいいところだ。
○○を使わない○○の本 というのがあると面白いかも。
数字を使わない会計の本
図を使わない図解の本
写真のない写真集
お金のことがでてこない金持ち父さんの本
などなど。
逆説的なタイトルで何か考えてみよう。
★★★★+レトリック
・レトリックが好きだった方
・数学に興味ある方
・面白い話大好きという方