よのなかを変えるために。
ニッポン放送株をめぐるホリエモン騒動は、すっかり過去の出来事になってしまった。テロやら政治やらいろんなことが次々と起きるので、あのときの騒動はすでに過去へと流れていったようだ。
本書は、ホリエモンがやったM&A劇をネタにしつつ、実はよのなかを変えるための激をとばす内容になっている。なかなか熱い内容がある。
ホリエモンは、旧態依然と安寧をむさぼる日本企業にM&Aの脅威というリスクに目覚めさせるTVドラマをやってくれた。
多くの人が、いいぞいいぞと囃子ながら、実際のところ心からの応援はしていなかったような気もする。
なぜか。
それは、堀江さんの言動から
「ITと放送メディアの融合をめざす」といえば聞こえがいいが、その先にあるべき、いったいどんな姿を目指すのか、何のために(どんなふうによのなかに貢献してくれるのか)がいまいち見えなかったところが不満だったからだ。
ソフトバンクの孫さんがいうように全国にネット網を広げ、社会を便利にするぞみたいな「志」のようなものが感じられなかった・・・むしろ、なんだかマネーゲームを楽しんでるだけのような印象を受けたのではないだろうか。
本書は、ホリエモンへの挑戦となっているが、堀江社長を批判するためのものではない。変革期にみられるチャレンジャーとしておおいに評価もしている。
本当の趣旨は、著者が「若者が夢をもてる国を作りたい」という夢に対して、挑戦しようというものだ。ホリエモンは、そのためのひとつの題材になっている。
あの騒動は何だったのかをレビューできることと、これから著者がやろうとしていることが分かる点が、本書のキモである。
熱い方におすすめ。
著者は、高級新聞(ザ・タイムズとかル・モンド、ワイントンポストなど)を発行することと、ホンモノのシンクタンクを作ることを目下の目標としている。
明治維新の頃の志士を引用しながら、これからの時代を切り開く道筋をつけようとしている。志や高し。
飲み屋さんじゃないところで、たまにはこういう議論もしてみよう。
★★★★+志
・変革が好きな方
・ホリエモンに興味ある方
・日本大好きという方