社員は3倍、重役は10倍・・・
この本と出合ったのは、トリンプインターナショナルの吉越社長のお蔭である。
早朝会議の見学をした後インタビューのお時間をいただいた。そのとき、「トリンプの経営理念とかはどんな感じなんですか?」という質問に対し、吉越さんは、
「うちにはそんなものはありません!」
と言下におっしゃった。そして、やおらこの本を取り出して見せてくださったのだ。
読んでみると、吉越さんが好きでたまらないとおっしゃった理由がよく分った。この本には、土光さんの経営や事業運営に対する哲学が凝縮されている。
*顔をみたらコミュニケーションを行え。廊下の行きずりでも書類一枚分
くらいの連絡はできる。
*部下の情報が上司のもつ情報と等しくなるくらい密着したコミュニケー
ションをやれ。
*穴を深く掘るには幅がいる。
などなど、とても心に響く言葉がある。そしてその補足(本郷さん)がまたいい。
期待される社員像は「変化に挑戦しうる人」だとして、変化について語るところがある。曰く、変化には3つの要素があるという。
断層性:現在の変化は過去の変化から質的に飛躍して繋がらないことがある
波及性:一つの変化がその領域で留まらず、横へ波及し意外な結合が起きる
加速性:過去が算術級数的だとすると、現在は幾何級数的である
なるほどー。
そういえば、トリンプの吉越さんも土光さんと同じく、「上も下も同じレベルの情報をもつようにしています」とおっしゃっていた。上が現場のマナ情報まで持つことは大変な努力がいるし、またあらゆる情報を隠さないで部下に伝えることもこれまた腹の据わった対応が必要だ。うーん、学ぶこと多し!
吉越さん、素晴しい本のご紹介ありがとうございました!
この本の初版は昭和45年(1970)というから35年も前のこと。重版を重ねてロングセラーとなっているという。本書は、新訂版である。編者の本郷さんは東芝で土光さんの謦咳にふれ、それを社内報「東芝ライフ」に土光語録を連載した人である。(松下幸之助翁と江口克彦氏のような関係か?)
もし、身近にすんごく尊敬できる人がいたら、その人の言動を記録しておいてもいいね。そういうすごい人がいたら、できるだけ懐に飛び込んで近くにいるといいかもしれない。
望めば叶うね、きっと。
★★★★★+目刺をめざす
・土光さんを尊敬している方
・土光さんってだあれっという方
・偉大な先人の心に触れたい方