そうか、そういえば螺旋的だ!
ヘーゲル?、弁証法?・・・
本のタイトルを見ると、ちょっと引いてしまうのではないだろうか。
僕も、ヘーゲルだのカントだの哲学者の名前くらいは聞いたことがある。しかし、どうも肌にあわない遠い存在のまま、長い年月が過ぎた。
今回、田坂さんのこの本を読んで、初めてヘーゲルとか弁証法とか、これまで高尚な哲学思想だと避けてきたものに近づけたような気がする。
弁証法においてもっとも役立つただ一つの法則があるという。それは・・・
『物事は、螺旋的に発展する』
ということだ。
今、私たちはネット革命でとんでもなく便利な世の中になっていると感じている。しかし、それは実は既に存在した世の中の仕組みが螺旋的に進化したものだという。たとえばネットオークション、逆オークションなど便利な仕組みがあるけれど、実はビジネスモデル自体は昔からあった。
市場(しじょう)が市場(いちば)と呼ばれていた時代、「せり」や「さしね」といったものが存在し、ネットの便利で安い環境でバージョンアップしただけ・・・なのだ。これが、螺旋的に進化した例の一つ。
また、Eラーニングは「寺子屋」が、ギャザリングは「生協」が、インターネットそのものも「ボランティア」の文化が、螺旋的に進化して登場したものだという。(おぉー、なんと!)
私たちが「進化」という言葉を使うとき、未来にむかって直線的に変化すると思いがちだが、実は『螺旋的発展を本質としている』という。これがポイント。
さらに、螺旋的発展のほか、次のような法則も分かりやすく解説されている。
『否定の否定による発展』の法則
『量から質への転化による発展』の法則
『対立物の相互浸透による発展』の法則
『矛盾の止揚による発展』の法則
詳しくは本書を見ていただくとして、この本からは、自分の仕事、生き方、世の中の捉え方・・・様々なことを深く考えたくなるヒントがいっぱい!。
矛盾に満ちた「生」を、アウフヘーベンしちゃおう。
投げ銭システム、ナレッジ・コミュニティ、コンビニ・・・日常目にする様々な仕組みやシステムは、弁証法的に進化してきた。
となれば、未来も弁証法的に予測できる・・・というのが次のステップ。
「消えたものは必ず復活する」のだから、弁証法的思考を使って未来予測ができる。どう使うか・・
1)何が消えていったかを、見る
2)なぜ消えていったのかを、考える (合理化、効率化など)
3)どうすれば復活できるかを、考える (新しい技術、環境など)
世の中の未来予測だけでなく、日本はどうあるべきか、地球は、人類は・・と哲学的思考の先におくべきものはたくさんある。
哲学、しよう!
★★★★★+らせん的
・洞察力の達人になりたいと考えてる方
・ヘーゲルってだぁれという方
・哲学にちょっと興味がある方
今日、いってきました。田坂さんの講演会。100人以上の方がつめかけ、田坂さんのお話に聞き入りました。深く静かないつもの田坂さんと違い、まるで高速タイプライターのような(ご自身は二倍速モードでお話してます:笑 とおっしゃいました)早口のテンコモリコンテンツをお話いただきました。しかし、それでも深い哲学の思索はすごかった・・・。
Webookをお読みいただいている方にもお会いでき、とてもうれしいセミナーでした。
講演の後は、田中靖浩さんとお話。今日は、いっぱい素敵な出会いがありました。