もはや中流は終わった?・・
今、世の中には、超豪華な暮らしのセレブもいれば、年収300万円でもいいやという人もいれば、その中間の層もいる。いろんな人が世の中にはいる。
そんな中、一億総中流時代は昔のことで、どうやら世の中は「二極分化」しつつあるらしい・・・。こういう論調をメディアでも雑誌でも聞くことが増えてきた。
二極分化とはどういうことか・・・
皆が中流であることを目指し、それに価値を見出していた「一億総中流化・平等化モデル」は変化し、いまや「階層化・下流化モデル」に変わりつつあるというのが、著者の分析である。
そういう世の中(日本)の様子から、「下流社会」という言葉を生み出して、分析した社会科学の本がこの本。「下流社会」とは、著者の造語だ。
下流とは、食うや食わずの下層階級ではなく、「中の下」という意味。
団塊ジュニアなどの世代で、その価値観、暮らし振り、消費性向などはどうなっているのかをあぶりだし、そこに「下流」という階層集団を浮き上がらせてみせている。
さて、なぜそうなっているか・・・
それは、「最初から中流に育った世代」が、中流であることを目指すことに価値観をもたなくなったからだという。ニートや、フリーターの増加もそんな要因があるのかもしれない。
各種のアンケートデータなどを使い、面白い考察が展開されている。
僕は、ビジネス的な視点から
日本の企業は、膨大な中流のためにたくさんのものを売るという仕組みでしか
動けないようなところがある。
これからは、「中」むけ戦略ではなく、「上」むけ戦略がいいのでは・・・
というところに響くものがあった。トヨタのレクサスは、そういう動きの一つだ。
この本、いろいろ考えるヒントがありそうだ。
この本、とっても売れている。アマゾンのレビューも155件(12.28時点)と、たくさんの人が賛否両論書き込んでいる。
中流、上流・・の本は、あったが、下流はなかった。そして、下流は他人ごとだと思っていたのに、もしかしたら自分も・・・というところが、売れている要因のひとつかもしれない。タイトルも刺激的だ。
世の中が総体的に、相対的に、どうなろうとしているのか・・・というのを分析してみるのは、楽しい。
意外に自分というワクをはなれるとなかなか外は見晴らせないものだ。給料しかり、家庭での過ごし方しかり、土日のすご仕方しかり・・・。自分のワクを離れ、世の中どうなってるのか・・・といつも注目していると面白いかも。
よのなかを広く冷静に見る目を鍛える練習もしておきたい。
★★★★☆+中の下
・よのなかを分析してみたい方
・階層化社会に興味ある方
・中流にこだわりのある方