2006年01月13日

公共事業を、内側から変えてみた ~ 桑原耕司 + 阪本啓一さん

志のあるところに道はある!


書籍情報

公共事業を、内側から変えてみた
桑原 耕司
日経BP社 (2004/12/09)
売り上げランキング: 64,107


本のひらめき

岐阜県に「希望社」という企業がある。www.kibousha.co.jp/  
岐阜県人会の僕としては、ちょっと自慢である。(^.^)

本書は、この会社が公共事業の閉鎖性、談合体質に挑んだドキュメントである。

このごろ世間を騒がせている建築業界は、いろんなところにひずみがある。そして、世の中にはそんなひずみを正そうという志高い人もいる。
本書の著者桑原さんもその一人。

建築主の代理者(コンサルタント)として建築主の側に立ち、建築の企画や設計、工事発注や設計改善(VE)、工事監理を実施する業務が、この会社の仕事だ。
JCM(日本型コンストラクション・マネジメント)と言っている。
「本当に建築主のために貢献する新しい建築サービスの確立が必要だ!」という思いが創業の根幹だったという。

田坂さんが、販売代理の時代から購買代理の時代に変わってきてたと、いまのネット社会の特徴を浮き彫りにしてくれた。希望社の理念はその購買代理に近いものがある。

本書では、佐賀市の若き市長、木下さんが直接電話を希望社にかけてきたことに始まる。高木瀬小学校の改築工事を依頼者の立ち場にたってプロジェクトマネジメントしてほしい・・という市長の要請をうけ、桑原さんたちが奮戦した様子が描かれている。

談合体質、ゼネコントと下請けとの関係、などさまざまな抵抗をうけながらも、誰のために・・とう旗印のもと、とにかく前にすすんだ公共事業正常化物語である。結局、予定価格7億1500万円から1億円以上削減するという成果があった。

自治体だけでなく、いろんな組織で参考になる物語である。


僕の思いつき

本書の圧巻は、「折衝」という本音でぶつかる場面である。応札業者と市&希望社の折衝こそが、人間と人間のぶつかりあいである。真実はそこからしか生まれない。

その場面の心理描写や、出来事が、とても面白い。

応札すればいいというものではなく、それを運営する人間のスキルと心構え・・・そういうものが、ホンモノを生み出すような気がする。

やれxxxシステムだ、やれISxだ、やれBSxだと・・・システムや資格や制度を入れても、そこに魂を吹き込むのは、最後は人間。
INVISIBLE(見えない)真実の姿は、制度や仕組みやハードと人間の間にあるらしい。

そういうのを図解しておくと面白いね。


オススメ度

★★★★+折衝!

読んで欲しい方

・の達人になりたいと考えてる方
・に興味ある方
・こだわりのある方

Posted by webook at 2006年01月13日 19:54 | TrackBack