その人の「役にたとう!」
本書は、現在ダイエーのCEOとして再建の道をリードしている林文子さんの物語だ。ご自身ではなく、林さんの高校の後輩、岩崎さんがインタビューをまじえ、自身の生き方と照らしながら林さんの魅力を語った本である。
岩崎さんは、林さんの生き方や仕事の仕方、お客様との接し方、社員との対話などさまざまなところに共感を覚え、それを自身の言葉に租借して解説する。
林さんのエピソードなどがいくつか紹介され、「ありがとうの気持ちが世界を動かす」様子が伝わってくる。
ロジカルシンキングや、論理で理づめにコトを進める話ではない。もっと、心の奥底からスタートする、まことに人間的なストーリーが林さんのエピソードにはある。これまでホンダやBMWやフォルクスワーゲンでの素晴しい実績の根っこの部分だ。
「生の自分をさらけ出すこと」
「であった人に最高にしておけば、自分を思い出してくれる」
そんな生き方が、とっても爽やか。だから、多くの人が林さんのファンになってしまうのだろうね。お客さんも社員も。
本書は、そういう林さんを、岩崎さんという若い女性の目を通して伝えているというところがミソだ。林さんをぐんと引き寄せて、文字にしてくれた岩崎さんの感性もすばらしい。
林さんのように「相手の役にたとう」というのをトコトン実践するのは、実はなかなかむつかしいのではないか・・・。どこかで、自分の利己的な意志と葛藤がおきる。それでも、やはり・・・と思うところ、そこには何かある。
僕はそれをあえて、「矜持」といってみたい。武士道ではないけれど、この線を超えたら己がすたる・・・みたいな「誇」みたいなものだろうか・・・。この前、阪本さんと話をしていて、最後まで心に残っていたのが、この二文字だった。
「我々はどうして生まれるかというと、私は、人間は人を幸せにするために
生まれると思っているんですよ。」
と林さんはいう。すべては、こういる他喜力(西田文郎さんの造語)にもとづいているんだねぇ・・・。
なんだか爽やか。
今度、ひさびさにダイエーにいこっと・・・。
林さんを感じるために。
★★★★☆+ありがとう!
・ありがとうの達人になりたいと考えてる方
・人を喜ばせることが好きな方
・仲間にいつも感謝している方