ようやくこの本にたどり着けた・・・僕。
人間は地球上に生まれてこの方、様々な進化をしてきた。技術、知識、ネットワーク、肉体、そして精神・・・。
知という領域では、様々な発展と進化をしてきた。20世紀までは、機械論パラダイムが前提だったという。つまり、あらゆるものは、生命も含め、分解し、分割し、分析していけば真理が見えるという西洋的な思想が機械論パラダイムだ。
ところがそれは限界にきており、これからは「複雑系」という言葉に示されるように、多数の要素が複雑に相互作用しながら、自己組織化していく生命のようなプロセスこそが本質ではないか、・・・というのだ。(たぶん)
この思想が、生命論パラダイムと言われるものだ。とても東洋的である。
ノーベル化学賞受賞者のイリア・プリゴジン博士の「散逸構造理論」というのがこの思想の元になっているらしい。
本書は、イリヤ・プリゴジン博士の講演と、その後のディスカッションを元に、21世紀の知の潮流を論じるすごい!本である。
浅田彰、立花隆、西垣通、西山賢一、松井孝典、田坂広志の各氏が、独自の視点から解説を加え、そしてプリゴジン氏と議論を展開している。
田坂さんの解説が、とても分り易く、また知の世界の深遠さを感じさせてくれる。
まだまだ僕ごときには読みこなせない内容がある。それでも、今の僕に丁度いい“ゆらぎ”を与えてくれる内容ももたくさんあった。いくつか印象的な表現を書き留めておこう。
我々は自然から分かれて、なおかつ自然の一部である。
進化のプロセスそのものも進化する。
進化の結果は予測できない。
積極的に小さな「ゆらぎ」を生み出し、社会システム全体にも影響を
与えるほどの変化を求めて「主体的」に行動を起すことです。
「生命論パラダイム」とは、単に「生命」に関する「知」のパラダイム
を意味するのではなく、「物質」から「生命」、「生命」から「精神」
へと続く「自己組織化する宇宙」の「開かれた進化」に関する「知」の
パラダイムであるといえます。
今から13年も前にまとめられたこの本に、いま様々なところで見聞きする深い思想や哲学のエッセンスが書かれている。そのことに驚愕する。
田坂さんの本や講演に心躍らせる人は、ぜひ、いつかこの本に挑戦してみてほしい。
すごい!一冊。僕は、まだ100分の1ほども読みこなせていないと思う。(それでいて、この本を紹介している自分がちょっと恥ずかしくもあるのだけれど・・・)
この本を田坂さんに頂いたのは2003年のことだった。Webookで田坂さんにインタビューに訪問させていただいた時のことだった。
http://webook.hp.infoseek.co.jp/2003.06/2003.06.10.htm
そのときの田坂さんの言葉が僕にはとっても印象的であり、そして疑問でもあった。具体的な表現は思い出せないけれど・・・
この本には、今私が主張していることのほとんどすべてが網羅されています。
といったようなことだった。この本は、1993年に編纂されたもの。インタビューに訪れたのは2003年。つまり、10年も前から未来のことが予見されていたということだった・・・。
しかし、そのとき僕の心の中でうかんだ大いなる「?」は、しばし、本棚の中で眠ることになる。
田坂さんに頂いた本は、すぐ読むようにしている僕にしては、なぜだか時間をおいたけれど、ずっと心の隅で気になっていた。
今年2006年。本を頂いてから3年の後、僕はようやくこの本を手にした。それは、何か運命的というか、必然的とうか・・・・そういうものを感じさせるように、自然に手が伸びた。そして、2003年、田坂さんに聞いたあの言葉の意味を知り、深く納得。
とても深い内容がある。まだまだ未熟な僕には読みこなすだけの力はないけれど、それでも今の僕に「読め」と命じた何かがあったように思えてならない。
今、僕自身や親しい仲間の間でおきようとしていること、そのことが書いてあるようで、驚いてしまった。
時間や空間の中で、なにか繋がってしまったもの。人間的に言えば、そう、ご縁とでも言えばいいのだろうか・・・・ちょっと宇宙に通じるような気配を感じつつ、この本を読んだ・・・。
★★★★★+ゆらぎ
・全体をいつも見ていたい方
・複雑系に関心のある方
・生命・宇宙・ガイアと聞けば何か感じる方