2006年02月04日

這い上がれない未来 ~ 藤井厳喜

格差社会に流されず・・・

書籍情報

這い上がれない未来  Never-Climbing Society
藤井 厳喜
光文社 (2005/12/14)


本のひらめき

本書は、国家破産( national bankruptcy) を契機に「超・格差社会」が訪れ今以上に「金持ち」と「貧乏人」がはっきりすると予測する。

日本だけでなく、欧米における生活格差の事情を解説し、これからの格差社会を展望している。

ちょっと興味深いと思ったのは、米欧の学歴事情。
アメリカでは、高校卒業時にトップ10%だと、ブッシュ大統領から直接賞状が届くという。また大学も私立はべらぼうに高く(年間500万前後)、中流でも名門一流大学にいくには大変だという。ただし、奨学金制度が相当充実しているため機会均等社会を保てているのだという。

這い上がる人になるために、若者にはこうアドバイスする。

 1.海外の名門一流大学に留学せよ
 2.公務員になってはいけない
 3.就職するならグルーバル展開している企業にいけ
 4.最低、英語は話せるようにしろ
 5.金融・経済の知識を身につけよ

など10項目がある。

だから、「どうしよう・・」ではなく、だから「いろんなことを考えよう」
というのが本書である。


僕の思いつき

三浦展さんの「下流社会」が売れている。危機感を煽られるとついつい反応してしまうのは世の常。しかし、いつの時代にも豊かな人もそうでない人もいるわけで、その要因が何にしろ右か左かといった二元論的な思考をするのは、いかがなものか・・・と思う。

人を羨ましく思ったり、自分を自慢してみたりしても仕方がない。どんな価値を世の中に残せるか・・そういう思考のほうがいいのではないかと思う。

本書にも、若い頃からずっと寄付を続けてきたアメリカ人の話が登場する。その人の暮らしは決して豊かではない。しかし、明らかにこの地上にすばらしい何かを残している。

上か下かといった二極分化の流れが仮にあるとして、そのなかで自分は下流にいきたくない・・という利己的な発想は、心が貧しくなるかもしれない。


オススメ度

★★★★+格差

読んで欲しい方

・中流を維持したい方
・未来を考えるのがすきな方
・子どもを留学させたい方

Posted by webook at 2006年02月04日 19:21 | TrackBack