烏合の集か叡智の輪か
クイズ番組、株式市場、選挙予測、グーグルなど一見するとバラバラだけど、実は根本的に似通っている様々な事象を取り上げ、「この世界のありのままの姿」を描こうという本だ。
ありのまま・・というのは、つまり、この世の問題や事象は、ごく少数の専門家やリーダーが答えを導き、その後に大多数が付従って行くというものではなく、集団はけっこう正しい答えを導き出すということだ。
「適切な状況の下では、人々の集団は、その中で最も優れた個人よりも 優れた判断を下すことができる」というのが本書の主張だ。ただし条件があって、意見の多様性、各メンバーの 独立性などが必要だというものだ。
なんとなくそんな気もする・・が、本書に登場する様々な事象から、うんナルホドとまではいかなかった。登場する事例がちょっと縁遠いせいだったかも。
タイトル「“みんなの意見”は案外正しい」というのが、きのうのGoogleの本ともあいまって妙に興味をそそられた。
残念ながら期待値ほどではなかったが、こういうことを考えるアメリカ人がいるという点で面白いかも。
選挙の結果、企業ブランドの乱高下、売れ筋の動向・・・などの背後には「集団の智恵」といったものがあるらしい。(本書によれば)
一方で、烏合の集とか、思考停止の集団とかいう面もある。
本書にはないのだが、たぶん、「集団の雰囲気」(知的、気楽、興味本位、くそまじめ、先鋭的・・・)などが、その集団を「知的」なものにするのか、あるいは「バカの集り」にするのかを決めるような気もする。ほかにもカリスマリーダーの存在とか、定着しているシステムの問題とか、文化的背景(農耕民族か狩猟民族か)などもあるかもしれない。
うーん、集団の研究・・・って面白いかも。
日々の会議、意思決定の仕方、会社の仕組み・・・などをこういう目線で眺めていくと面白いかもね。
★★★+案外
・衆智を集めたいと考えてる方
・合意に興味ある方
・世界を元気にしたい方