そこにある病気・・・
コーチングという言葉は、すでにビジネス用語として定着している。僕もコーチの駆け出しとして活動を始めた。
コーチングといえば、コーチと個人。一対一の関係というのが普通。著者も長年にわたるコーチや研修の経験から少なからぬ自信がある。しかし、あるとき「コーチングじゃ組織は変わらん!」という経営者の声に悩み、その後「コーチングは、個人と会社の両方が幸せになるためにある」というコンセプトで、新しいコーチングの分野を開拓したという。それが、ビジネスコーチングだ。
どんな会社に効果があるか・・・
個人は優秀なのに、組織になるとパフォーマンスが悪い。
いわゆる集団の病気、企業病にかかっている会社である。(それ、うちのことだ!なんて方は実は多い)
病気を分析すると「ないない病」「裸の王様病」「レッテル病」「傍観者病」「正当化病」に分かれる。
これらを解決するのは、「15%対85%の法則」「パレートの法則」「波及の法則」の3つだ。15%:85%は、ちょっと説明がいる。成功している組織のエネルギーは、15%がスキルや知識から生まれ、85%は、モチベーション、意欲、志から生まれる、というものだ。日本電産の永守重信さんのことばが引用されている。
能力の差は、数倍だけど、思いの差は数十倍。だから組織を成長させる
ためには、社員の意識を変えることが何より大切である。
というもの。実感である。
5つの企業病の対処法や、10のクスリは、これ使いたい!というヒントがいっぱいある。
また、損保会社や食品会社などでの「実録」は、リアリティがあってとても参考になる。
企業病の兆候のある会社の方、とってもお勧め。
本書は、読みながらマインドマップを書いた。マップがさくさくかける心地よさがよかった。
集団になると生まれる思考パターン=集団意識・・というのは、不思議な影響力をもつ。場の雰囲気ともいう。
それが、互いに尊重しあい、自分の組織エゴや枠組みを超え、誰か(お客様や仲間)のためになることを・・・というベクトルが共有されたら、場の雰囲気はとてもよくなる。
そういうものを意識して生み出す活動こそ、この本で言われているビジネス・コーチングの目指すものかもしれない。
レッテルは、ネガティブに使うとまったくいただけない結果になるが、意図的にポジティブなレッテルと使うと、不思議にいいことが連鎖する。Moso活動も、レッテルをうまく使ってみよう。(ピグマリオン効果)
コーチングはガチンコだ、という。教育も子育ても同じだ。ガチンコとは、正面から体で真摯にぶつかることだ。そして、そこから何かが生まれる。本書にも著者の体験したいくつかの事例シーンが紹介されているが、ガチンコのダイアログが印象的だ。
ガチンコを、コーチング的にやるのが・・・実はキモのところだね。
★★★★★+組織の雰囲気
・組織のエネルギーを高めたいと考えてる方
・15%85%の法則に興味ある方
・会社を元気にしたい方