はまる面白さ・・・
管理会計の本である。しかし、めちゃくちゃ面白い。
ドラマ仕立てで展開するこの本は、ふたつの架空会社で二人の若き営業マンが管理会計を学んでいく物語だ。各所に管理会計の基本がスカっと解説されている。これが、目からウロコのすばらしい解説で気持ちいいい。こういう説明が欲しかったんだ・・という明快な解説がある。
二つの企業は、どこかできいたような会社。
ひとつはレンボウという一部上場のアパレル企業。カラーバリエーションふんどし「ファイナル・サムライ」の売り出しにかけている。もう一つは、高価格、デザイン志向のアパレルメーカーG-ON。スケルトンスーツのネイキッド・キングを計画中だ。
レンボウの山中とG-ONの広野が、それぞれの新製品プロジェクトを任されて奮戦する。その過程で「管理会計」を学んでいく。登場する人物も親しみがわく。
貸借対照表、損益計算書などの財務会計。これは、人のための会計(外部報告用の会計で、過去志向。一方、管理会計は、自分ための会計(内部報告用会計)で、未来志向だ。
会社とは何か、人はコストなのか、企業の目的は何か・・といった「思想」の一端がにじんでいるところがとっても好感だ。これは、監修の田中さんのテイストである。
笑いながら学べ、しかも深いものを感じられる。お薦めだ。
限界利益。僕はこの言葉を聞いて、ずっと違和感を覚えていた。本書でもこの言葉のネーミングの幻惑を指摘している。(なんだかうれしくなった)
限界利益は、断じてギリギリの利益を意味しているわけではない。
売上の伸びに伴って増えていく利益を意味している。
限界利益=売上ー変動費のことで、内容的には、売上に比例するという
意味で「比例利益」ともいうべき・・・
ふむふむ。そして
損益分岐点(ブレークイーブン)=限界利益が固定費と等しくなる点(売上)
なるほど、である。これまで、こんなふうに分り易く解説をしてくれたことは一度もなかった・・・。
監修の田中さんに新春講演でうかがった話によれば、借方、貸方というネーミングも実は、混乱を招くミスネーミングだという。(これもよくわかる)
管理会計についても、管理、会計・・というふたつの「暗い」イメージの言葉があってふさわしくないのではないかという。賛成!
田中さんは、マネジメント・アカウンティングの語源から、「経営会計」のほうがいいとしておけばよかった・・という。
ネーミングは大事だね。
★★★★★+ドラマ仕立て
・管理会計をしりたいと考えてる方
・会計に興味ある方
・田中さんのセミナーにいらした方