「神様は、君にもゴールを決めるチャンスをくれるはずです」
耳の聞こえない少年とデンマーク代表選手との心温まる物語。4年前の2002年、日韓ワールドカップが開催された。その時、この物語は多くの人の心の中で静かに広がっていった。ある新聞記者が個人サイトにアップした日記が発端だったという。
トマソン。この選手の名前を聞いて「あっ、耳の聞こえない少年との・・」とピンと来る人は、この本が何かをすでにお分かりの方である。
トマソン選手は、デンマークの代表選手の一人である。北欧のデンマークからやってきた代表選手は和歌山県で合宿練習をした。その時のエピソードである。
デンマーク選手団は、和歌山のホテルに宿泊。ホテルの支配人とコック長は、食事のことが気がかり。食事が口にあわずに試合に影響しては大変・・・そんな心配があったからだ。ところが、オルセン監督はこういった。
いっさいをお任せします。そちらが用意してくださる料理を
ごちそうになります。
お世話になる和歌山に溶け込もうと、監督も選手も一生懸命。「いただきます」を食事の前に言ったり、地元の少年たちとミニサッカーをしたり、サイン会をたびたび催したり・・・。
あるサイン会での話。サインの順番がまわってきた一人の少年がモジモジしている。トマソン選手は、通訳を通じて「どうしたの?」と尋ねると、少年はポケットから一枚の紙を出す。そこには英語でこう書かれていた。
僕は小さいころ病気にかかって口と耳が不自由です。耳は聞こえません。
言葉は話せません。
だけどサッカーだけはずっと見てきました。大好きです。デンマークの
サンド選手とトマソン選手が好きです。がんばってください。
その光景をみていた通訳も記者も言葉がない。・・
実は、トマソン選手には、この少年と同じく障害をもった大切な人がいたのだ。
つづきは、ぜひ本を読んでほしい。心洗われる素敵な感動物語に涙を流さずには読めない。
実は、この物語を始めて知ったのは林覚乗さんというお坊さんの講演だった。思わず涙をこぼしてしまう素敵なお話。だから、この本は読む前からウルウル状態だった。
少年にゴールを決めることを約束したトマソン選手。約束どおり、大会を通じて4点ものゴールを決める。
決勝には進めなかったが、和歌山県民は大感激。県をあげて(?)お疲れさん会を催す。そこにあの少年もいた。トマソンは少年をみつけて語りかける。
神様はこうして君に耳が聞こえない試練を与えています。
しかし、ゴールを決めるチャンスもかならず与えてくれるのです。
君はそのチャンスを逃してはいけません。
しっかりと、がむしゃらに、決めてください。
前を向いて生きるという、かけがえのないゴールを
もし、今、何かの壁にぶち当たっている人がいたら、苦しい状況にある人がいたら、ぜひ、この本を読んでほしい。
★★★★★+いつか必ず!
・心をホッコリさせたい方
・デンマークに興味ある方
・自分を元気にしたい方