開かれた鎖国、閉じられた開国?!
著者のマリヨンさんは、日本語が話せるアメリカ人。といっても父親の仕事の関係で、10カ国、20都市以上に移り住んできたという。そんな著者がみた日本の不思議、いいところも不合理なところもある日本人と社会について、ウィットに富んだ考察を披露している。
いちいち、ごもっとも。
なるほど、そうだったんですね。
いや、まいりました。
こんな感想を持った。
そして、マリヨンさんが書いている日本人と社会の特性は、日本人自身も感じなんとかしたい・・と思っていることでもある。にもかかわらず、直せない・・・というところが歯がゆい。恐らく今は、何かが少しづつ変化する端境期なのかもしれない。本書に共感を覚える人が何かを起こす時期にきているから。
マリヨンさんの目にはこんな風に映っている。
日本の企業社会には、すばらしい特性がある反面、大国らしからぬ
ドメスティックな商習慣やビジネス・スタイル、硬直化したルール
や仕組みが、いまもしっかり生き延びているように見えます。
現場の人は優秀だが、決定権がない。本社は権限を有しているが
決定能力に乏しい。このミスマッチも日本起業のビジネステンポを
減速させているに違いありません。
欧米では、プロジェクトの始まりのときに、まずヘッドや各部門の
責任者が出てきて全体図をつくり、その大枠にしたがって各担当者
が実務を進めていく。
全体の見取り図が明確になるし、トップも顔も見えれば、組織の
構造や責任の所在もはっきりしている。
日本では逆に積み上げ方式ですから、部分ごとには明確でも
全体像がなかなか見えにくい。・・・こうしたチームと仕事を
していると、ジクソーパズルにおいて出来上がりの図を知らされ
ないまま、各ピースだけをせっせとはめこんでいるようなそんな
不安を覚えるのです。
そうだそうだ!と思うわが同胞も多いのではないだろうか!
自分の言葉で話さないスピーチ、群れるのがすきな習性、部分最適ではあっても全体の統合性がない・・・などたくさんの視点が痛快!でもあり、痛恨でもある。
わが身を写す鏡として、覗いてみよう。(なにが見えるかなぁ?)
6月の株主総会で新たに企業リーダーに指名される方も多いことだろう。えてしてお年寄りが多いのだが・・・
そんな方、こっそりとこの本を読んでおいたほうがいい。自らが何をどうなすべきか・・・とってもいいヒントがあるから。
本書の前文にANA会長の大橋洋治さんが、推薦文を書いている。著者とは、ニューヨーク時代に出会って、個人的な親交があるらしい。ANAの躍進をリードした大橋さんが、マリヨンさんと同じメンタリティーをもっているとすれば、ANAの変化の背景がわかるような気がする。
方や・・・・。嘆くことはない、変わればいいのだから。
そうだ、マリヨンさんにもジェイカレッジに来ていただこう。ここは大橋さんに頼むしかないか。(誰か大橋さんにつないでねー)
★★★★★+開かれた鎖国
・外人視点の斬新さを味わいたい方
・ガイジンの見方に興味ある方
・日本を元気にしたい方