知識は使ってはじめて経験という力を持つ。
多くのビジネスパーソンは、もっと勉強して、経営知識をもっと獲得して、それから、いい仕事をしたい・・・なんて思っている。それは間違いではないが、まず知識を得てからという「知識習得の広大な砂漠」に迷い込むのは止めとこうと御立さんは言う。
仕事でいい結果を出していくには「知識」や「スキル」だけではだめで、「使う力」が必要だという。
これからのビビジネス・リーダーに必要な4要素は、次の4つ。
1)人間力
2)経営知識、3)使う力
4)業界・社内常識
これが本書での一番大きな鳥瞰図である。御立さんが幽体離脱して眺めた本書の構造図だ。本書はこれらの4つの中で「使い方」にフォーカスした内容で、まずその定義を3つの切り口で定義する。
使う力 1)= 情報を加工・統合して、意思決定する力 +
人と組織を動かし、結果を出す力
2)= 頭の使い方系のスキル + 心の使い方系のスキル
3)= 企画の中で + 会議をコミュニケーションの中で
1)が結果としての使う力としての定義、2)は入り口として、3)は日常の仕事の中での進行形というフェーズでの定義である。
そして、ここから使う力が小気味よく因数分解されいく。御立さんは、森の定義もうまいが、そこから木を見せていくのも実に明快だ。
たくさんのひらめきがあったが、僕的にいくつか印象深かったものは:
行動=論理x感情
What gets measured, what gets done.
もとは他人のアイデアでも、自分で順列組み合わせを考え、3割自分の
個性が加わったら、それはもう立派なあなたのアイデア。
リーダーに求められるのは、「経営知識」と「使う力」の掛け算である。
これから伸びようというビジネスパーソンに、すばらしい刺激をくれる本でないだろうか・・。お勧め!
御立さんの体験や、お気に入りの名著名言などをまじえ、とてもわかりやすく書かれている。このごろ、御立さんは、落語に凝っているらしい。前回あったときもそんなことを口にしていたような・・・。本書でも落語家の真髄や、落語の話が登場する。会計士の田中さんも落語家(志の吉さん)とコラボしたり、落語と会計の接点を模索したりしている。伝統芸能の落語(古典落語)にはまるのもいいね。
さて、知識やスキルは、つかってこそ意味がでる。使うことで、知識や資格という静的なものから「経験」という変えがたいダイナミックな価値へと昇華する。
本を書く場合も、基本的には、このプロセス(知識→経験)をベースにしていることが多い。なぜなら、経験、体験以上に熱く語れるものはないからだ。
日々の仕事も、勉強も、「入れたものは」すべて、何かに変換して「出して」こそ、ひとつ上の価値を生み出せる。
★★★★★+使えば磨ける
・結果を出したいと考えてる方
・ビジネススキルの習得にはげんでいる方
・大学院に行こうかと考えている方