祖国という見方
藤原さん、「国家の品格」が大ブレークして、あちこちのセミナーでひっぱりだこ状態である。
今日の本は、「国家の品格」の前、2003年に講談社から出された単子本を文庫化した本である。中身は、国語こそすべての知的活動の基礎だという「国語教育絶対論」のほか、ほのぼの系の家族エッセイなどが収められている。
エッセイは、家族のことなどがかかれているが、さすが数学者の家族といった雰囲気で、ユーモアにも知性がつまっている。
国語は、論理を育み、情緒を培い、すべての知的活動の支えとなる、だから、国語こそが国家の根幹にかかわる大事な教育だとする、国語教育絶対論は、著者の魂をかけた叫びとなっている。 大いに共感するところ大である。
このごろ、小学校から英語を教えよう・・という動きがあり、英語くらできなくっちゃいけないし・・・と、僕も賛同したかったのだが、この本を読んで、いや待てよ・・と思うようになった。
ロジックや理論は、ある前提の上にたってモノゴトを理路整然と考える方法論である。しかし、ある前提を決めるポイントは、情緒だったり感性だったりする。だから、スタートポイントがずれたら理論は整然としていても、トンチンカンな結果になる。だから、情緒や感性をはぐくむことが大事。それには国語が大切だ・・というのが主張の内容。
国家の品格にも同様の主張があり、大いに共感したものだ。頭と心。頭を磨くのは、いろんなものがあるけれど、心を磨くのは、はやり国語の世界かもね。
ズバズバと明快に主張する著者は、きっとお話も面白いのだろうねぇ。
今後の計画やプロジェクト、企画、戦略を練るような会社の会議がある。そんなとき、最初にどういう枠組みを想定するか・・というところが非常に重要だ。
えてして、過去はどういうやり方をしたのか・・といった発想で、それをベースに物事を進めがちである。この時点。この時点こそが、藤原さんのいう情緒だったり、感性の啓く「重要なスタートポイント」になる。
だから、安易に、この前はこういうスタイルだったから、今回も、このスケジュールで・・・なんてやってはいけない。
こういうやりかたは、お役所にも企業にも実に多い。エスタブリッシュ企業ななんかは特にそうなりがち。
「企業の品格」を決めるのは、MBAスタイルのロジカルなモノゴトの整理の仕方だけではなく、はじめの一歩を踏み出すとき、どのような全体像を想定し何を解決するのかという課題の捉え方にかかってくる。そういう瞬間があったら、ぜひ、深呼吸して考えてみたい。
★★★★☆+祖国
・日本の文化を大切にしたい方
・国語がすきな方
・日本を復活させたい方