コトづくりとは、Mosoプロジェクトのことだった。
花王の社長などを務めた常盤さん。「モノづくりのこころ」につづき、コトづくりについて語った本である。
コトづくりとは、つまり組織をリードしてひとつのモノゴトを達成するプロジェクトづくりのことだ。組織にビジョンや夢を与え、みんなが智恵と汗を出し力を合わせていく容器、それがコトである。マネジメント力の話である。
本書には、著者が企業経営で体験したできごと(たとえば、花王のアタックの開発)や、ホンダやトヨタ、あるいはオンリーワン企業の中小企業などの事例を紹介しながら、コトつくりがいかに大切かを説いている。
人は、理屈と感情で動く不思議な動物。しかし、そのどちらが大きいかと言えば「感情」のほうが大きいように思える。好き、嫌い、得意、不得意、カッコいいにはじまり、これはあの人のために、これはよのなかのために・・という矜持・・・そういうものが理屈をこえて人を動かす。
コトつくりにおいても、古今東西のリーダーは、情動の部分をうまく活用してきたようだ。NASAのアポロ計画、トヨタのプリウス開発、ホンダのCVCC開発、百万分の1の歯車で有名な樹研工業、ipod などが登場する。
後半は、こうしたコトつくりにかかわる経営思想の話になる。
「きらめく旗を立て、活き活きと働ける仕組みをつくって集団を高い軌道に導く」ことが、コトづくりの「りから」だと締めくくる。リーダーの方必読。
組織をまとめてある方向に導くには、やはり旗がいる。
何のために?
誰のために?
俺達はどんな瞬間をめざしているの?
いつまでにやるの?
さぁ、垣根を越えていっしょにやろうじゃないか!
責任? あー、俺が取るから存分にやりなさい!
なんていう瞬間が、ある企業、組織は、強いかも。なければ、自分でつくっちゃおう。誰もやってはくれないから。
いまやってる仕事にはためく旗はあるだろうか・・。
★★★★★+コトづくり力
・強靭でワクワクする組織にしたい方
・世の中のユニーク企業に興味ある方
・会社を元気にしたい方