とんでもなく元気な会社!
バレンタインデーにチョコレートを贈る習慣は、すでにクリスマスのプレゼントのように定着してきた。これを日本で初めてスタートさせたのが本書の著者、原社長である。
ひとつの小さな誤解から、これは生まれたという。1958年、学生だった著者は、パリ在住の商社マンの先輩からもらった寒中ハガキにあった言葉を早とちりしたのが、その始まりだという。
その年の2月12日-14日の3日間、新宿伊勢丹本店で「バレンタインチョコレート」が並ぶ。しかし結果は散々、板チョコ3枚とカード1枚が売れただけだったという。それが今では・・・
原さんは言う:
この多数のギフトチャンスの中で「男女の想い」にコンセプトを想定し
本命もあれば、義理もあるといった「想いの軽重」に対応できるイベント
はバンレンタイン以外にない。
また、本来、男女いずれからでも可だった欧米の習慣を、「女から男へ」
と限定したことも大きな成功の要因だった。
日本のチョコレート市場は約4000億円。そのうち2割がバレンタイン商戦で売り上げられるという。ただし、このイベントだけに依存する体質は決して望ましくはないという。
メリーチョコレイトの成功は、たくみなマーケティング+ITを戦略的に使う優れたオペレーション、さらに家族的経営と著者が言う社員を大事にする社風が大きな要因になっている。
3ヶ月ごとに開かれる社員の誕生会では、社長と上司からのメッセージ(直筆)が社員に贈られるという。週刊社内報へ寄稿してくれた社員には、すべて労いの手紙を出すという。これが年間1000通余り。とことん社員を大切にする原さんは、こういうところの手を抜かない。情報もすべて公開する。社長の給与も含めぜんぶオープンにしているという。恐れ入りました・・である。
メリーチョコレイトの秘密を、写真も数多くまじえて語った本だ。オススメのチョコ、じゃなくって本。
原さんの講演をメリーチョコレイト本社で聞いたことがある。金沢工業大学大学院の授業の一環だ。当時MAPS(現在、MASCOT)というITシステムで、前日の売上から決算まで速攻で分かる様子のデモもしてもらった。
話し出すととまらない原さんの言葉は、とても熱く、エネルギーに満ちたものだった。
株式公開などしない、勲章もいらん・・・そんな原さんに、また、自らの経営の思想を語ってもらいたいねー。来年2月のジェイカレッジだね。
★★★★☆+メリーチョコ
・メリーチョコレートが好きな方
・バレンタインデーにチョコもらった方
・日本の中小企業を元気にしたい方