アフターユーの品格
本書は、マナーの真髄を、ビジネスだけでなく家庭や子育ての場面でこそ使いましょうという本である。英国オックスフォードで育まれた西出さんのマナーコミュニケーションの想いは、ついに家庭にまで広がってきた。素晴らしいことだ。
本書は、ビジネスで使えるから生活の場面にも広げようといった安直なものではない。人間として大切にしたいものは、どんなところでも大切だという思想みたいなものがある。西出さんは常々、ノウハウやプロトコルではなく、もっと根源的なところを説いている。だから、心に響く。
オックスフォードで生活していたころの体験がいくつか語られている。西出さんが心を打たれ、そしてよのなかにマナーの心を広めようと思うきっかけとなったエピソードが素敵だ。さすがマナーのお国。品格がある。
本書には39の心得がある。イギリスでステイした先のママに教えてもらった「シアワセの法則39」である。どれもあたりまえといえばあたり前なんだけれどなかなか・・・・。 いくつか自戒を込めてメモっておきたい。
15 一日に最低3回、人が喜んでくれることを考えること
16 一日に最低3回、人が喜んでくれることを行うこと
26 自分が言われて嬉しい言葉をどんどん人に伝えること
27 自分がされて嫌なことは人にしないこと
28 自分がされて嬉しかったことは2倍にしてお返しすること
31 質問形式でコミュニケーションをとること
33 会話の最後は前向きなプラスで終わること
36 トイレの蓋は閉めること
38 一日「30回」、人から「ありがとう」といってもらうようにすること
39 一日「50回」、人に「ありがとう」と伝えること
「私がオックスフォードで体感したマナーは、社会人になってから伝える内容ではなく、幼少期から親や学校で伝える内容ではないか!?」・・西出さんがふとそう思ったから、この本が生まれた。すばらしい。
後半には、久米さんをはじめパパ・ママの子育て論も掲載されている。
お父さん、お母さん、オススメです。
英国が、経済的には遅れをとっているにもかかわらず、世界にその国の品位を保っているのは、文化や品性があるからだ。そのことに思い至る。そういえば、藤原正彦さんも「国家の品格」の中で、国が尊敬される要素は経済ではなく「文化」だということを訴えていた。
アフターユー(どうぞお先に)という文化は、家庭や子育ての場面から出来上がる。
アフターユーと今日は何回いえるだろうか・・・。
たまに心静かに振り返ってみたい。
さて、本書を読みながらふと思った。
西出さんとはじめてお会いしてから随分と時間が経ち、ようやく僕も西出さんの近くにこれたなーと。なんだかウルっときたのは、わが身の成長を感じることができたからだろうか・・・。
西出さん、ジェイカレッジの出番です!
★★★★★+アフターユー
・子どもにもマナーの心を伝えたいと考えてる方
・マナーに興味ある方
・我が子を品のある子どもにしたい方