石に言葉を教える・・・授業があれば・・
柳田さんのエッセイである。時代の変化を示す小さなゆらぎを捉えた時代考察がまとめられている。
タイトルの「石に言葉を教える」というのは、冒頭の小編からとったものだ。
初老の男が山林に踏み入って、小さな渓流のほとりにある角ばった石に言葉を教える・・・そんな幻想が著者の脳裏をよぎる。その話である。
男ははじめ、簡単な言葉を石に教えようとし、やがてまわりのせせらぎの音といっしょに物語を聞かせるようになる。3年、4年・・。やがて、男は、石が楽しんだり悲しんだりする反応を理解できるようになる・・・。そんな幻想物語を著者は自分の頭の仲でふくらませる。
さらに絵本「そらとぶアヒル」から、「もしかして」という言葉のもつ力に魅せられる話へと発展する。
そして、アミニズム論へと繋がる。宮沢賢治やアイヌの人が、柱におでこをぶつけたとき、おでこも痛いが、柱も痛いはずだから、柱のほうも「治る治る」とさするというお話だ。自分や子どもを中心にモノを感じるのではなく、状況全体、宇宙全体に視点を広げて考えるところが素晴しいという。
石、人、全体、宇宙、もしかして・・・なにか深遠なものを感じさせてくれる。
以前、「僕らは星のかけら」(マーカス・チャウン)という本を読んだとき、宇宙も石ころも人間もみな同じ起源の成分より成り立つというのを知って、いたく感動したことがある。
http://webook.hp.infoseek.co.jp/2000.07/2000.07.17.htm
そういう意味では、石に話をするのもいいかもしれない。
もしかして・・・という言葉の魔力を生かすため、Moso力を使ってみよう。
だんだん、僕も宇宙人に近づいてきたようた・・・笑
★★★★+石と語ろう
・柳田邦男さんに関心ある方
・むかし鉱物だった方
・初めて人間をやっている方