2006年06月11日

子どもが輝く「魔法の掃除」 ~ 平田治 + 校長先生のブログ

褒めない、叱らない、比べない!? えっマジ?

書籍情報

子どもが輝く「魔法の掃除」―「自問清掃」のヒミツ
平田 治
三五館 (2005/05)
売り上げランキング: 105,368

本のひらめき

この本は、阪本啓一さんに教えた頂いたもの。先日のジエカレッジでのことだ。
自ら気付いて自ら行う・・・このエネルゴーこそがすべてのことに通じるすご
い魔法だと気づかせてくれるすごい!本である。

小学校の先生である平田さんは、以前は熱血「管理大好き」先生だったという。
それがあるとき校長先生に「はめられ」て、研究主任に抜擢され自問清掃とい
う修行の道を経験することに・・・。
そのときの著者、平田先生の心の変化、動きはとてもドラマチックだ。

それまで自信をもって進めてきた教育にあり方を、見つめなおし、ある意味で
否定し、そして新たな地平を切り開くプロセス・・・そんな過程が、生徒たち
の心の変化とともに語られている。

自問清掃とは、しずかに自分と向き合いながら掃除をする時間。まるで禅の業
のような時間である。毎日わずか15分。生徒たちはだれかれに指示や命令さ
れることもなく好きなように掃除の時間をすごす。そして、そこには奇跡とで
もいいたくなるような素敵な時間がある。

 子どもたちの中に生まれた変化に助けられながら、毎日少しずつ前に
 進んでいったのです。

という先生にとって、自問掃除は自らを全面否定していく過程でもあった。苦
しかったと素直に述懐をされている。そしてその先に見たものは・・・

 教師からの指示・命令・注意によって、効果的に動かされていた子ども達
 からは決して生み出されなかった尊い行為が、次々を展開していきました。
 私の想像をはるかに超えて、しかもいかにも自然にです。

自問掃除とは、黙って静かに掃除をする時間。はじめはおしゃべりする子、さ
ぼる子・・・などいろいろだが、やがて変化が現れるという。しかし、最初か
らただほったらかしというわけではない。心の中に魔法のタネを植え、魔法の
水をやり、出た芽を育て、道徳で深めるという地道なプロセスがある。

そして「信じて待つ覚悟」「許しあう教育」の上に、成長を自らが意識し、心
の高みへと上っていく喜びがある。

ほめない、叱らない、比べない・・というすごいこの方法は、いままでの私達
の常識を覆す素晴しい試みだ。そこでは、すばらしい精神性の高まりを発見で
きる。

僕は、この本を名古屋から東京への新幹線の中で読み、涙がとならなかった。
多くの教育者の方に、親の方に、そして今度生まれてくるときも人間をやりた
い方に読んで欲しい。


僕の思いつき

小学生には「がまん玉」「しんせつ玉」「みつけ玉」といったお話で、心の中
に魔法のタネをまく。このお話がなかなか素敵だ。

「神様からもらった3つの玉」の話だ。

まだ地上に動物がやっと現れ始めたころの話。神さまが動物達を集めて、欲し
いものを与えました。鼻を長くして欲しいという動物はゾウに、長い足が欲し
いという動物にはキリンに、強さが欲しい動物はライオンとトラにしてもらう。
何も欲しがらずにじっと皆の終わるのをまっていた動物は人間。神様に何から
欲しいものをいいなさいと言われ、「いえ神さまがくださるものならなんでも
ありがたくいただきます」という。神様はそれに感心し、3つの玉を授ける。
それが「がまん玉」「しんせつ玉」「みつけ玉」だ。この玉を皆に同じ数ずつ
あげたが、子どものときによく磨かれないと曇ってしまうと・・と神様はつけ
加えた。

こんな導入の後は、信じて待つという苦行(?)が先生を待ち受ける。

人を羨んだり、妬んだり、何かにつけ生えてくる心の雑草につける薬はないも
のかと思っていたが、タネはやはり子供の頃に植えたほうがよろしいようで。

しんのすけ少年は、子供の頃、父からはがまん玉を、母と姉からはしんせつ玉
を、兄からはみつけ玉をもらいました。それから後も、いろんな神さまが、入
れ替わり立ち代り、その少年を支え続けてくれているようです。
ありがたいことです。気がついただけでもエライです。笑

あなたは、誰からどんな玉をもらっただろうか? 見つけてみない?



オススメ度

★★★★★+魔法のタネ

読んで欲しい方

・教育を変えたいと考えてる方
・このごろ掃除に目覚めた方
・自問掃除で心を高めたい方

Posted by webook at 2006年06月11日 20:52 | TrackBack