面白いか、面白くないか。それが問題だ。
会社にはいろんな制度や仕組みがある。あ、またボーナス考課の時か、あれ、この前人事考課を書いたばかりじゃなかったっけ・・・みたいな会話がどこかで交わされていないだろうか。
考課表を書いて出すほうも、それに点数をつけるほうも、なにやら不合理な印象をもちながら、会社の決まりだし・・・と毎度のお勤めを果たす。「業績評価制度」といったアチラモノが輸入され、人事コンサルタントの教えに従って立派な制度や体制はできたけれど、いったいどれだけ効果が上がったのだろうか? こんな疑問は、おそらく人事総務の部署にいる人にとってはタブーであ
ろう。
タブーに挑戦してみたい方や、悩んでいる方に、ピッタシおすすめの本が、今日の本だ。シンプルなしかけ。これが、実に「かんたん」実行、「ばつぐん」効果、「らくらく」継続できるしかけなのだ。
本書は「上司のすごいしかけ」に続く、やるき蔓延!すごいしかけの第二弾。
(出版社が違うのがまたよろしい。前回は中経、今回は日本実業)
成果主義か年功主義かといった二項対立の問題ではない。それはそれで、ある程度の基本的な制度があって、それを支えるホントウのしかけが本書のすすめる楽しいしかけである。例えば
私の自慢・わたしの思いコーナー
みんなでそうじ
ぺらイチ社内報
ナンバーワン社員評価シート
などなど。私の自慢、わたしの思いコーナーは、すごい!ランチ会議みたいなノリだ。定例の会議で、一人3分くらいの自慢や思いを話す時間をセットするものだ。意外な事実がわかったり、驚きと共感が生まれたり・・・。
ナンバーワン社員評価シートは、目に見えない会社への貢献を見えるようにするしかけだ。「あの人がいると明るくなる」とか「彼の宴会しきりは最高!」とかいった勝手な項目でみんなが推薦しあっちゃうものだ。
また人事評価シートもこんな改善が面白い。○○力、○○性といった人によって捕らえ方が違う表現を改める。「企画力」→「企画書の作成枚数」、「積極性」→「人がやりたくない仕事の実施件数」などといった言い換えである。
硬いものはやわらかく、抽象的なものは具体的に、面白くないものは面白く、しなくっちゃ結局、食えない餅になってしまう。
人事部の方、必読の本です。
過日のジェイカレッジにご登壇いただいた阪本啓一さんが、「正しいか正しくないか」とか「すべきかすべきじゃないか」ではなく「楽しいか楽しくないか」で物事を判断したらいいじゃん・・・とおっしゃった。
心に残るフレーズだった。
そう、人はお金(ボーナスの±とか、昇給昇格)で動く時代は、どうやら昔の時代だ。給料がまともにもらえない、作業環境が劣悪なときには、そういうインセンティブは効果抜群だが、豊かになった今、むしろ「やりがいのある仕事」や「達成の喜び」「承認/賞賛の喜び」「自己成長のうれしさ」「仕事を任されるわくわく感」といったほうが大きい。(ハーズバーグの衛生理論にもあるという: http://www.careerscape.co.jp/point-herzberg.htm )
だとすれば、今の人事制度は旧式の名残を色濃く残した脱皮前の状態かもしれない。仕事を面白く、楽しくやる工夫。これこそが取組むべきことなのではないだろうか。
さて、どうするか・・・ちとMosoしてみますかね。
★★★★☆+楽しさの演出
・人事部を変えたいと考えてる方
・やる気の源泉に興味ある方
・職場を元気にしたい方