藤原正彦 + K&Jセミナーまもなく満席
共感の数々・・・
「国家の品格」を読み、多くの読者がなるほど!やそうだそうだ!という共感を覚えたことだろう。
本書も同じく藤原さんのズドンと切り込んだ辛口エッセイである。
特に英語に対する考えが共感を呼ぶ。英語第二公用語論の沈静化の後、今度は小学校で英語必須化の動きがはじまった。東京荒川区では、英語が正式教科に格上げされ、小1から担任が教えることになるという。保護者の要望も強く、この動きは全国に広がりそうな勢い。
さて、これに藤原さんはまっこうからNoを突きつける。その観察と洞察が非常に面白い。
まず小学校での英語教育を主張する人の大多数は、英語が不得意の人である。
英語力ゼロに近いほとんどの小学校教諭が、生徒に一体何を教えるのか。
ブラックユーモアとしてなら世界中に受けること必定だが、教えられる
子どもたちは気の毒である。
と手厳しい。また英語に対する誤解をこう整理する。
英語がうまくなれば世界から理解され信頼される。
英語がうまくなれば経済が発展する
誰でも英語をモノにできる
すべての国民が英語を話せることが必要で、そうなれば日本の国際的
プレゼンスも高まる
なるほど、そういう幻想があるような気もする。
大切なのは伝達手段の英語より、断然、中身であり、その人の人柄である!とという主張は、まったく同感である。
このことは他の著書でも主張されているが、何度読んでも共感を覚える。
後半の「父新田次郎と私」や「私の作家批評」なども興味深い。
本書の著者、藤原正彦さんの父、新田次郎の作品は、遠い昔に読んだことがある。
アイガー北壁
銀嶺の人
などだ。時をへて、また面白い味わいがあるかもしれない。
★★★★★+藤原節
・この国の実情を考えたいと考えてる方
・この国の真実に興味ある方
・藤原節がききたい方