生物学を愉しむ!
この本を紹介するのは3度目(のはず。たぶん)
http://blog.mag2.com/m/log/0000000969/90356606(絵解き版)2004.05.06
子どもの学校の宿題図書になっているらしく、リビングに置いてあったものを手にとってみた。以前読んだから知っている・・と思っていたのに、またすっかり本川ワールドにハマッってしまった。面白い!
本書は、動物のサイズと時間、サイズとエネルギー消費、サイズと生息密度、サイズと呼吸・循環など様々な視点から動物を科学する楽しい読み物である。あっと驚く法則があったりして、とても興味深い。
中でもサイズと時間については「20へえ」はいきそうだ。(へぇは古い?)
時間は体重の1/4乗に比例する。
というのがそれ。つまり大きな動物ほど時間はゆっくりだということだ。人間は24時間の時計で生活をまわしているけれど、他の動物は違うらしい。(陽がのぼり沈む時間は同じだけど)イヌにはイヌの時間が、ゾウにはゾウの時間が、ネズミにはネズミの時間があるというわけである。これは、とても大きな
発見である。
物理的な時間で測ればネズミは、数年しか生きないし、ゾウは100年くらい生きる。しかし、心臓の心拍数を時計にすれば、ネズミもゾウも同じくらいの長さの人生になるという。ほぅ。
無類の正確さで時を刻む腕時計、これはどんな動物にも当てはまる、と思っていた常識が、ガラリと崩れる。
他にも、動物のサイズとエネルギー消費(食べる量)、行動範囲、人口密度、運動コストなど楽しいテーマがいっぱいだ。そして、そこから新たな疑問やヒラメキをくれる楽しい本である。
また何年かしたら、読んでみよう。定点観測ブック(その本を通じて自分の成長の度合いを測る本)なんてあったら面白い。
僕は高校の生物という科目がきらいだった。気味悪い図があるし、世の中に生息している動植物などを分類して覚えたって仕方ないし・・・みたいに随分と斜に構えて授業に出ていた。
存在するものを単に分類して知識として蓄えるだけでなく、本川さんの本にあるように、横断的に考えたり、比較したり、人間のことに引き寄せたりする思考方法があればよかったのに・・・。
あとがきに「動物が変われば時間も変わるということを知ったとき新鮮なショックをうけた」とある。これは、実は相当でかいショックだったみたいで、新鮮どころではない「怒りに満ちたショック」だったようだ。
「こんな大事なことを教えてくれなかった今までの教育に怒りを感じ・・怒りをてこに本書を書いた」とある。
つまらないことや、イヤなこと、くだらないと思っていたことが、視点を変え考え方を改めると、俄然きらめいてくるところが面白い。
会計という一見地味ぃ~な世界を、面白ろ可笑しく身近にしてくれた会計士さんたちもいるし、英語という苦労して勉強しないといけないと思っていたものを楽しく勉強する方法を提示してくれた人たちもいるし、単調な仕事にもかかわらず世の中に光を放つ仕事をしている人もいる。生物学からかなりぶっとんじゃったけど、モノは考え様ってことみたいだね。ということで、仕事も勉強も楽しくやろう。
★★★★★+動物のデザイン
・ネズミ時間を生きている方
・ゾウがすきな方
・時間について考えたい方