できれば、気品のある大人でありたい。
「あらすじで読む日本の名著」など、あらすじシリーズの本は、とてもよかった。すべてこの本の著者小川校長が始めた素敵な企画である。たくさん読ませていただいた。小川先生は、埼玉県入間市、狭山ヶ丘高校の校長先生である。どんな方なんだろう・・とずっと思ってきた。
本書は、この小川先生が学校通信「藤棚」や地域のPR誌「狭山ヶ丘通信」に書き続けてきた随想をまとめたものである。随想というと軽い雰囲気を想像するが、小川先生のそれは、非常に硬派で重い。そして生徒たちに対する深い慈愛にあふれている。
思わず、ぐっと心にしみて涙がこぼれそうになるお話も・・
人は利己的に生きているように見えて、実は自分のためではなく、
愛する者のために生きている。
人は本来気高く偉大なものである。
こんな哲学を小川先生はもっている。そして、
勉学へのたゆまぬ努力で獲得した知識は、諸君に思考力を与えるだろう。
知育なくして、徳育はないのである。
それによって、人間は「他人のために尽くす尊さ」を勝ち得ていく。
と高校での勉学の大切さを説く。
老人とちょっとだけぶつかり、その謝る姿が「気品」に満ちていた女子高校生の話、民家近くに墜落した自衛隊機のパイロットの犠牲的精神の崇高さ、小学生のころの不登校事件の話、などたくさんのエピソードは、心に響く不思議な「香り」がある。
この本を通じ、小川先生に近づけたような気がする。
ジェイカレッジにおいでいただくことに決めた。
小川先生の学校通信「藤棚」はこちらに:
http://www.sayamagaoka-h.ed.jp/principal/hujidana/index.html
気品。香り。品性。
素敵な言葉だ。
これらを生み出すために必要なもの。
豊かさ? 愛情? ゆとり?
いろんなものがあるけれど、若い人や学生には、やはりまず知性かもしれない。
知性とは、テストでいい点をとるための知識ではなく、「考えるための知識」という意味だ。知らないものは考えられない。だから、学習し学び経験し、そして考える。
読書は、そういうきっかけのためにあるね、きっと。
★★★★★+気品
・あらすで読むシリーズを読んだ方
・高校生の品格が気になる方
・わが品性を高くしたい方