すべてのものは常にカイゼン、向上させる力がないと腐る・・・そんなことをふと思った。本書には、トヨタで役員秘書に抜擢された石井さんが垣間見たトヨタの真実が語られている。いいことも悪いことも・・・。
トヨタといえば、健全な財務体質、トヨタ生産方式、人材育成、製品品質など様々な面で優良企業ベンチマークにされている。日本だけではなく世界のトヨタになってきた。そんな強靭なトヨタには、どんな人たちがいるのか・・・
大いに興味をそそるテーマを、秘書という面白いポジションから観察したのが本書である。
一番おどろいたのは、ダメ部長などマイナスの面もちゃんとかかれているところだ。たとえば
E部長は、本部に残って司令塔の役割を果たさなくてはいけないポジション
なのに、勇み足の多い人でした。・・・・
といった、悪い事例などもいくつか紹介されているところが、さすがだと感じた。トヨタ本に限らず成功企業の物語は、いいところをメインに出したいが、こうしたNG事例もあるのは真摯な感じがして好感だ。(トヨタでもそういうところってあるんだ・・・、やっぱりみんなでいいものを一生懸命育んでいく努力を続けないといけないんだなぁ・・・という印象を受けた)
著者が秘書業務をしていたときに学んだこと・・・
標準になった瞬間に、カイゼンの対象になる
トヨタのスタイルのひとつだという。日常の様々な仕事をSOP(標準手順書)やマニュアルにするとふと安心してしまう。実はそこからがスタートだ。
あたり前のことをあたり前にできるトヨタの秘密は、やはり人がベース。秘書、技術職などさまざまな仕事を経験しながら、著者が眺めたトヨタの「できる人」「できない人」。そこからトヨタの秘密が解説されている。
トヨタに17年勤務した著者。すばらしい経験をされ、それを世の中に出せるモードに昇華されたところがすばらしい。
ふとこんな格言を思い出した。
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あの男は17年の経験があるのか、
1年の経験を17回繰り返しただけなのか。
(パウル・R・ウィゼンフィールド)
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企業での経験は、ぜひ次のステップに生かせるようなものにしておきたい。
失敗でも成功でも、アウトプットモード(自分の経験から、何かを学びそれを人に伝える姿勢)で臨めばいいかなー。
★★★★☆+トヨタウェイ
・秘書をやってる方
・人を見るのがすきな方
・自分を発信モードにしたい方