2006年10月14日

負けるな町工場 ~ 中里良一 + ユヌスさんノーベル賞

好きかどうか・・・一番の判断ポイント

書籍情報

負けるな町工場―ハンデをプラスに変える発想法
中里 良一
日刊工業新聞社
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本のひらめき

中里スプリングの話は、ある知り合いの方から伺っていた。群馬県にあるちょっと変わった会社・・・そこでは、優秀社員に会社の設備や材料を使って好きなものを作る権利や、いやなお客様を断る(切る)権利がもらえるのだとか。

なんだか楽しそうな会社!

本書は、二代目社長の中里さんが、自身の思い、中小企業経営者への提言などを語ったものである。

町工場といえば3K、暗い・汚い・きついの3K職場の代表格。いつのまにか「産業構造の底辺にあり、下請け、孫受けの仕事をこなす末端の製造業」という意味あいになってしまったという。そして著者は思う。著者は3Kを別の意味に考える。「企画力がない」「既成概念から抜け出せない」「希望がない」この3Kから抜け出すことが町工場の未来に繋がるという。

他社の嫌う仕事を積極的に受け、特殊加工や設備機材の特殊化などニッチ戦略で成功し、中里ブランドを確立した。いわゆる規格ばねシリーズだ。数量は少ないが「一時間でも早く」欲しいといった緊急品のばねをそろえ、顧客ニーズに対応したのが最初だったという。

また会社経営、とくに人の活用という点では、とてもユニークなものがある。高い目標をコミットさせ、ノルマを達成したら金一封・・といったアメムチ式の思考回路とは一味違う世界がある。なにしろ、顧客を選ぶ判断基準は、儲かるか、大口か、といったものではなく「なんとなく好きか嫌いか」という実にファジイなものだ。ファジイだからこそ、実は高感度でもある。好き嫌い、楽しいかどうか・・・そんな雰囲気のマネジメントは楽しそうだ。

なんだか中里スプリングには、不思議な空気があるらしい。本を読んで、現地に行ってみよう。


僕の思いつき

中里さんは、独特の経営思想がある。利益についていえば・・・

 利益は会社が肥える(大きく)なるためのものではない。社員や経営が楽し
 く有意義に仕事ができるようにすることに使うべきものである。私はそう信
 じて疑わない。

だから、右肩上がりでドンドン行けではなく、社長も社員も楽しく仕事ができ好きな取引先に全力投球できることこそ大事だという。

売上と利益を前年対比○%増・・・なんてのを株主にコミットしている企業はよくあるが、それは幸せなんだろうか・・・とふと思う。中里スプリングで行われているビジネスは、たぶん新しい世紀の新しいビジネスのやり方に違いない。

だからこそ、一番頑張った社員に贈られる「会社の設備と材料を好きにつかって自分の好きなものを作れる権利」なんてのがある。

また、楽しい会社をめざすのなら、毎年でも、3年に1回でも利益の一部を会社の什器備品の取替えに使ってみる九台の器量が欲しい・・・という。賛成!

楽しくする工夫・・・これこそがヤルキとモチベーションの元になる。さぁ、そういうのを考えてみようねー。

 ■半日、会社の外で何をしてもいい権利。
 ■1日、Googleとかにいって見学できる権利
 ■1週間、社長秘書をできる権利

などなど。


オススメ度

★★★★☆+JOYの会社

読んで欲しい方

・楽しい仕事をしたい方
・仕事がすきな方
・面白い仕事しかやりたくない方

●今日のおまけ:( ムハマド・ユヌスさんやったね! )

 先日、紹介した「ムハマド・ユヌス自伝」には、グラミン銀行が生まれた
 背景が詳しくかかれている。

 10/4のジェイカレッジ報告会でもちょこっとグラミンの話をした。
 参加者の方から、共感の感想と、ユヌス氏来日予定があるというお話を
 うかがい、とてもうれしかった。

 ノーベル平和賞のニュースに、狂喜乱舞。そーこなくっちゃ・・である。
 日本にユヌスさんが来たら、会いに行こう・・・

Posted by webook at 2006年10月14日 16:54 | TrackBack